大阪市北区曽根崎新地のビル4階のクリニックから出火し、24人が死亡するなどした火災で、放火や殺人の疑いが持たれている患者の男(61)がかつて勤務していた大阪市内の板金工場の社長(78)が18日、取材に応じた。「真面目で腕のいい職人だった。事実だとすれば信じられない」と胸の内を明かした。
社長によると、男の父親は市内で別の板金工場を経営しており、男も高校卒業後、職人に。社長の工場では一時仕事を休んだ時期もあったが、平成14年から約8年間働いた。「腕は抜群で、その腕を買ってうちに来てもらった」と話す。
社長の工場に就職するまでは職を転々としており、男の妻も「定職についてくれたことがうれしい」と話していたという。当時多忙だったという社長の工場で長く活躍し、後輩職人からも慕われていたが、22年に突然出社しなくなり、そのまま音信不通に。以前にも退職をほのめかすことはあったが、明確な退職の申し出はなかったという。
在籍中には職場でのトラブルはなかったが、社長は「少し短気なところもあり、私がアドバイスしたり注意したりするとかっとなって口を利かなくなることもあった」と振り返る。事件への関与を疑われていることについては「真面目で職人かたぎ。そんなことをするなんて信じられないし、事実だとすればショックだ」と驚きを隠せない様子だった。