「核保有国と認知」北の目標に近づく 元CIA分析官

CIAの元北朝鮮分析官 スー・ミ・テリー氏
CIAの元北朝鮮分析官 スー・ミ・テリー氏

【ワシントン=渡辺浩生】米中央情報局(CIA)で朝鮮半島情勢の上級分析官を務めた、政策研究機関「ウィルソン・センター」のスー・ミ・テリー朝鮮史・公共政策センター長は産経新聞の取材に、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制は発足後の10年間で自国を「正当な核保有国として国際社会に認めさせる」との目標に近づいたとの見方を示した。

テリー氏は北朝鮮の核戦力について「最大で60発の核弾頭があり、ミサイル運搬システムを多様化、近代化している」と指摘。そうした状況下で韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言を目指していることについては「北朝鮮の非核化が全く進んでいない状況を容認するに等しい」と批判した。

トランプ前政権下の2018年に行われた史上初の米朝首脳会談をめぐっては、トランプ前大統領が展開した対北圧力政策を支持しつつ、性急に首脳会談を実施したせいで当時の金正恩朝鮮労働党委員長に「正常な国家の正常な指導者のように振る舞う機会を与えた」と問題視した。

バイデン政権の北朝鮮政策については、「政権にとっては北朝鮮は最優先事項ではなく、中国など他の仕事に忙しい」とした上で、現状で北朝鮮が対話を望んでいない以上、政権として実施できる政策は限られているとの認識を示した。

北朝鮮が来年に長距離弾道ミサイル発射や核実験に踏み切る可能性については「北朝鮮が大規模な制裁緩和を望むなら、どこかの時点で大きな賭けをする必要がある」と述べる一方、北朝鮮が引き続きミサイルの近代化と多様化を優先させる可能性もあるとした。

北朝鮮の後ろ盾である中国について、来年の北京冬季五輪などをにらみ、核実験などによる情勢の不安定化を回避したい思惑から北朝鮮に自制を促すとの見方を示した。

今後の対北戦略については「唯一の現実的な選択肢は長期的で一貫した制裁と圧力だ」と述べ、抑止力の強化や情報戦、人権問題などへの取り組みを通じて「北朝鮮を根底から変える必要がある」と強調した。

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