米ウイグル禁輸法案 進出企業に高い要求 調達網の点検、見直しも

米国と中国の国旗(ロイター)
米国と中国の国旗(ロイター)

中国新疆ウイグル自治区からの輸入を禁じる「ウイグル強制労働防止法案」が米議会を通過した。米国が超党派で対中姿勢を厳しくしている現実が改めて浮き彫りになった。法案が成立した場合、世界有数の市場である米国に進出する企業には、高い水準の人権意識を持ち、調達網の末端まで目を配ることが求められる。

これまで米議会では、同自治区の強制労働品を輸入禁止とする複数の法案が持ち上がってきた。これに対して世界に調達網を敷く大手企業が、厳しい対応を迫られることを懸念し、法案を骨抜きにするロビー活動を行ったとされる。今回の法案は、そうした動きを乗り越え、難しい調整の末に上下両院で可決された。

法案は、同自治区のすべての産品に強制労働が使われたとみなす「推定条項」を盛り込んだ。輸入したい企業は、輸入品に問題がないとの立証責任を負う。

同自治区が高い世界シェアを持つ製品には、綿花や太陽光パネル原料のポリシリコンなどがある。原産地の追跡が難しいケースも多く、企業が立証責任を負えば、調達網の点検や下請け企業の監査などに大きな負担が予想される。

米政府はすでに同自治区からの綿製品の輸入を禁じている。今年1月には日本の衣料品店「ユニクロ」製シャツの輸入が米当局に差し止められた。この際は、米アパレル関係者から「厳しすぎる対応だ」などと反発の声も出た。

だが、米衣料品関連など5つの産業団体は16日、連名で「強制労働品が米国に持ち込まれるのを効果的に防ぐ」と法案を支持する声明を出した。

法案は米国務省に対し、同自治区での強制労働を防ぐため、2国間・多国間での働きかけを行うことも要請。米政府に対しては、強制労働を助長している海外の団体や個人のリストを作成するよう求めている。

米国の対中姿勢が厳しさを増す一方、中国は外国の制裁に報復できる「反外国制裁法」を導入している。このため、多国籍企業が米中対立のあおりを受ける恐れも強まりそうだ。(ワシントン 塩原永久)