米上院本会議は16日、バイデン大統領に次期駐中国大使に指名されたニコラス・バーンズ元国務次官(65)の人事を採決し過半数の賛成で承認した。上院は同日、新疆ウイグル自治区からの輸入品を原則禁止する法案も可決。バイデン大統領が近く署名する見通しで、ウイグル自治区における人権弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定する米政府・議会は、北京冬季五輪への外交ボイコットに加え、最大級の外交攻勢を加えていく。
採決は賛成75、反対18票。バーンズ次期駐中国大使の派遣は11月3日の上院外交委員会で、駐日大使に指名されたラーム・エマニュエル前シカゴ市長の人事とともに承認された。
米政府は駐中国、駐日両大使の人事が、自由で開かれたインド太平洋の実現と対中国抑止戦略を推し進めるために不可欠なポストとしている。他の国内重要法案の審議が長期化し大使人事の採決は遅れが指摘されていたが、エマニュエル氏の採決時期も調整が進められる見通しだ。
前駐日大使のハガティ上院議員は本紙取材に対し、次期駐日大使の採決の見通しについて上院多数党のシューマー民主党院内総務の「優先事項にかかっている」と述べ、速やかに日程を決めるよう求めている。
バーンズ氏は10月の上院外交委公聴会で、中国は米国にとり「21世紀最大の脅威」と指摘。北京五輪への姿勢について、米国の選手団が自由に意見表明できる「言論の自由」の保証を当局に求めた。台湾関与は「一つの中国」政策を堅持しつつ防衛力強化を支援する必要性を強調していた。
バーンズ氏はギリシャ大使などを経て2001~05年に北大西洋条約機構(NATO)大使、05~08年に国務次官を務め、対テロ戦争をめぐる同盟諸国との外交やイランの核開発問題をめぐる交渉に従事した。(ワシントン 渡辺浩生)