大阪を緑あふれる街に 30年貢献の「みどり基金」 大阪公立大への助成で幕

大阪府大なかもずキャンパスに整備される「ひらめき広場」。利用者の交流で知の創出を目指す
大阪府大なかもずキャンパスに整備される「ひらめき広場」。利用者の交流で知の創出を目指す

「大阪を緑あふれる潤いのある街にしよう」との趣旨のもと、産経新聞社と関西テレビ放送が提唱して平成5(1993)年に設立された公益信託「グリーンプログラム21(みどり基金)」(受託者・りそな銀行)。街角の小さな緑化の取り組みから企業や団体の大規模な活動まで助成してきた。30年近い取り組みで、助成件数は57件、金額は累計1億175万円あまりにのぼる。基金は「一定の役割を終えた」として終了。最後となる助成(2192万円)は、来年4月に開学の「大阪公立大学」に整備される「ひらめき広場」に行われる。

ひらめき広場は、同大学に統合される大阪府大、大阪市大の学生や大学院生、教員が連携して「知」を創出できる場、同時に地域住民の憩いの場も目指してデザインを生み出した。

府大のなかもずキャンパス(堺市中区)中央北側にある「府大池」に隣接する芝生広場(約4千平方メートル)を整備する。現在は平坦(へいたん)なスペースに芝生の「ひらめきの丘」(最大高さ1・5メートル)を設け、勾配の角度にも差をつけることにより、座る人あり、寝転がる人もあり…と自由に利用してもらう。学生をはじめ、利用者の交流を促進するようテーブルやベンチも一新する。

「ひらめき広場」の完成イメージ図
「ひらめき広場」の完成イメージ図

池への展望の障害となっていた樹木を伐採。広場から池を見通せるようにし、ソメイヨシノをはじめ、樹勢が弱った樹木も大半を植え替える。

落ち着いた空間を生み出し、学生には学業の中で新たなひらめきを創造してもらう。この場所ではこれまでにも、地元の人との交流を深める「さくら祭り」が開かれており、新しい広場も地域交流の場として利用してもらう。

府大、市大の統合のシンボルとすべく、広場のデザインにあたっては、府大緑地計画学研究室と市大都市計画研究室の学生、大学院生計29人がワーキンググループをつくって参加。「ひらめき広場」という名称や、将来学生が運営していく方法などの共同提案をまとめた。

「丘の角度や照明、どういう樹木を植え替えるかなど、ディテールまで考えて提案した」(府大大学院1年、芦田凌さん)、「広場を学生が運営していき、地元の人にも愛着を持ってもらえる空間にしたい」(市大大学院1年、漆戸翔哉さん)など、学生たちの思いがこもった設計になった。

助成対象となった「ひらめき広場」の構想について話し合う大阪府大と大阪市大の学生ら
助成対象となった「ひらめき広場」の構想について話し合う大阪府大と大阪市大の学生ら

また広場を整備するだけで終わるのではなく、研究室の学生が主体となって運営グループを組織。大学と連携して、完成後の運営や管理についても自主的に行っていく仕組みも構築する。

将来はデザインや都市設計の世界に羽ばたこうとしている院生、学生だが、自分たちの手でデザインした広場が実際に整備されるというプロジェクトに携わる機会は貴重だという。

「広場を整備していくにあたっては、施工業者とともにデザインを実現するための現場での問題を具体的に解決していくことになる。そうした体験をすることは、院生や学生にとって、とても意義がある」(武田重昭・大阪府大大学院准教授)

ひらめき広場は大阪公立大学の開学に先駆け、2月には竣工(しゅんこう)する予定だ。

公共と市民活動の両輪に

みどり基金の助成決定に際し、設立当初から、学識経験者の立場で意見を述べてきた増田昇・運営委員長(大阪府大名誉教授)は「都市に大切な緑化への助成がほとんどなかった約30年前から、公共施設や市民の緑化活動を支援してきたみどり基金の意義は大きい」と話す。

増田昇・大阪府大名誉教授(みどり基金運営委員長)
増田昇・大阪府大名誉教授(みどり基金運営委員長)

設立された平成5(1993)年、大阪は3年前に開かれた「国際花と緑の博覧会」(花の万博)の意義をどう引き継いでいくかが問われているときだった。

「はじめに関西国際空港の緑化に助成してから、大阪を代表する公共施設の緑化を牽引(けんいん)してきた。同時に、市民が行っている地道な緑化活動にも助成する、その車の『両輪』の役割を果たしてきた」

大阪公立大学の「ひらめき広場」の整備について、増田委員長は「両輪」の象徴だと述べる。

「大学のキャンパスは、公共性の高い空間である一方、市民に開かれた地域でもあり、緑化の意義は大きい。そして何より、次代を築く大学生に、緑化への思いを引き継いでほしい」

公益信託「グリーンプログラム21(みどり基金)」は今回の助成をもって終了しました。長い間ご協力ありがとうございました。 産経新聞社、関西テレビ放送