大阪市北区で17日午前に発生したビル火災で、火元とみられるクリニックで、休職した人らの職場復帰をサポートする集団治療「リワークプログラム」が予定されていたことが、関係者への取材で分かった。多くの患者が集まっていたことで被害が拡大した可能性がある。
リワークは一般的に、「return to work(リターン・トゥー・ワーク)」の略で「復職」を意味する。参加者がプログラムを通して集中力などの回復を図りながら、発症に至った考え方や行動の癖を見直し、ストレスへの対応力を改善する取り組みで、医療機関などで行われている。
大阪府警や大阪市消防局によると、17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地の堂島北ビル(8階建て)で「4階が燃えている」と119番があった。28人が負傷して病院に搬送されたが、4階から救出された27人が心肺停止となり、同日夕までに24人の死亡が確認された。4階には心療内科「西梅田こころとからだのクリニック」が入居している。
府警はこの日、殺人と現住建造物等放火の疑いで、天満署に計約80人態勢の捜査本部を設置。同クリニックを訪れた50~60代くらいの男が紙袋を暖房器具の近くに置いて蹴ると、液体が流れ出して出火したといい、捜査本部が実態解明を進める。