昭和魂でコロナをぶっ飛ばす! 横浜銀蝿、還暦超えて全力疾走中

昭和魂で40周年ライブを精力的にこなす横浜銀蝿40thの翔(左)とジョニー=東京都文京区(石井健撮影)
昭和魂で40周年ライブを精力的にこなす横浜銀蝿40thの翔(左)とジョニー=東京都文京区(石井健撮影)

横浜銀蝿が大みそかまでの〝時限再結成〟を果たし、アルバム発売や全国コンサートツアーなど精力的に活動している。昭和の「ツッパリ」時代の申し子も、新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された。だが、「壁にぶつかっても乗り越えるのがツッパリ」。メンバーの翔(63)とジョニー(63)が、不滅の〝昭和魂〟を熱く語る。

不良のルール

正式名称は「THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL」。嵐(らん=ドラム)、翔(しょう=ボーカル、ギター)、ジョニー(ボーカル、ギター)、タク(ベース)の4人組ロックバンドだ。昭和55年に「横須賀Baby」を歌ってデビューした。

翌年の「ツッパリHigh School Rock’n Roll(登校編)」が大ヒット。革ジャンにサングラス姿で不良高校生の登校風景を明るく歌い、50年代後半をにぎわした「不良文化」の象徴的な存在となったが、58年の大みそかで解散した。

シングルとアルバムでヒットチャート1位を獲得し、東京の日本武道館公演を実現し、2年で解散する計画だった。シングルの1位にてこずり、活動を1年だけ延期した。逆にいえば3年で目標は達成した。

「不良はやっぱり、ルールを決めないと走れないから」。ニヤリと笑ってジョニーが説明する。「横浜銀蝿って、そういうバンド」と翔が横でうなずく。ともに還暦をとうに過ぎた。

解散後、ジョニーは音楽制作の裏方へ回った。現在はレコード会社の社長だ。翔は音楽活動を続け、平成10年、ジョニー抜きの横浜銀蝿を再始動させた。

パンデミックをぶっ飛ばせ

平成30年に共通の恩人が亡くなり、しのぶ会で翔とジョニーが20年ぶりに再会した。

「2年後にデビュー40周年だ。しかもオリンピックイヤー。全力を尽くして一緒にいいアルバムを作って、コンサートもしよう」と翔がジョニーを誘った。

デビュー40周年を機に、4人そろった横浜銀蝿が「横浜銀蝿40th(フォーティース)」を名乗り、1年間の期間限定で復活することになった。

手始めに昨年2月、新作アルバム「ぶっちぎりアゲイン」を出した。

そんな彼らを、コロナ禍が襲った。

「CDは出せたけど、コンサートは延期に次ぐ延期。このままだと、期限の1年が何もしないうちに過ぎてしまう」と翔は焦った。昨年6月、4人は活動期間をことしの大みそかまでに延ばした。

40年前もそうだったが、期限を延ばしてからの彼らは強い。4人は事態を前向きにとらえ、在宅で曲作りに勤しんだ。

「不良は、つらいことも楽しいことに変えないとやってられない。不良にとって重要なのは、壁にぶつかったとき、どう回避するか、どう乗り切るかだ」と翔は語る。

また、ジョニーは「俺、小中5年間、大病を患った。この世の終わりだと思ったけど、入院した病院のベッドで、ラジオを聴いて洋楽と出合った。いまこうして音楽の仕事に就いている。人間万事塞翁が馬だ」とコロナ禍をにらみつけている。

「40th」は、代表曲「ツッパリHigh School Rock’n Roll」の「在宅自粛編」を発表。「パンデミックをぶっ飛ばそう」と歌った。

また、翔は「コロナ対応で親にも会えない」という医療関係の友人との会話から「逢(あ)いたくて 逢いたい」という歌を書いた。歌詞は「逢いたくて」と「逢いたい」の2言だけだ。だが、コロナ禍の人々の気持ちを代弁するには十分だった。

これら新曲を持ち寄って4人は、「40th」の2作目となるアルバム「ぶっちぎり249」も作った。

「コロナで活動期間が1年伸びたおかげ」。ジョニーも翔も、あくまで前向きだ。

60代の現実

「249」は、3月時点での4人の年齢の合計。

ジョニーは「コロナ禍は60年余の人生で、一番大変な事態。そこに40周年が重なった。だからコロナで気づかされたこと、感じたことなどをリアルに歌にした」とアルバムについて語る。

翔は、「同時に60代のリアルを歌にした」と付け加える。「俺たちは、〝シンガー・ソングライティング・ロックンロール軍団〟。曲は自分たちで作る。もう『お前との出会いにワクワクした』なんて歌詞は書かないけど、『在宅自粛だぜ!』とは胸を張って歌える。歌いたいことを歌っているから聴く人に届く」という。

翔は、また横浜銀蝿の音楽について、「若者の音楽とは違う」ともいう。

「最近の音楽は、情報量が多すぎる。俺たちは単純明快。サビのリフレイン(繰り返し)で、一発で人の心をつかむ音楽を作る。60歳を超えたロックンローラーの歌ってものがある」

昨年の映画版も大ヒットしたドラマ「今日から俺は!!」の主題歌に、ジョニーが書き、弟分の嶋大輔が歌って大ヒットした「男の勲章」が使われた。おかげで10代のファンも増えた。

「昭和魂は永遠だ」とジョニーはいう。翔が「くじけそうになったときの〝最後の一踏ん張り〟。それが昭和魂」と続ける。

「ファイナルツアー バハハイ集会『昭和魂~永遠!』」と銘打った全国ツアーを敢行中で、17日、横浜市の神奈川県民ホール公演で最終日を迎える。

26日には東京のZepp HANEDAで「横浜銀蝿40th presents 銀蝿一家祭 ~令和・冬の陣~」。これは、嶋ら〝弟分〟も出演する。

そして、大みそかに「ファイナルカウントダウンライブ『ゆくじぇい くるじぇい 配信だじぇい』」を配信し、40周年の時限再結成とコロナ禍との闘いは幕を下ろす。

再びバンドを去るジョニーがいう。「来年は、プロゴルファーでも目指そうかな? いや、先のことなんて誰にも分からない。今はともかく、大みそかまでどれだけ燃えて突っ走れるかだ」(石井健)