米ウイグル禁輸法案 議会超党派が政権動かす

11月、ワシントンで、中国の習近平国家主席とオンライン会談するバイデン米大統領(AP)
11月、ワシントンで、中国の習近平国家主席とオンライン会談するバイデン米大統領(AP)

【ワシントン=渡辺浩生】中国新疆ウイグル自治区産の物品輸入を全面禁止する「ウイグル強制労働防止法案」が、米議会の上下両院を超党派の支持で通過した。米国は、中国の習近平政権が政治的宣伝に利用しかねない北京冬季五輪を控えたタイミングで、「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定する同自治区の人権問題に焦点を絞った最大級の外交圧力を加える構えだ。

「われわれの本日の行動は、人権に対する犯罪と組織的なジェノサイドとの戦いで米国が結束していることを世界に示すものだ」

強制労働防止法案が16日、上院本会議で可決された後、同法案の原案を共同提案した共和党のリッシュ上院議員は声明で訴えた。

同自治区の主要産品である綿生産や太陽光パネル材料などの製造をめぐって強制労働の実態がクローズアップされ、米上下両院では昨年以降、複数の強制労働防止法案が提起された。だが、いずれも一本化に難航した。背景には、輸入禁止措置で影響を受ける米企業の政府・議会へのロビー活動があったとされる。

リッシュ氏とともに同法案を推進したルビオ上院議員(共和)は16日、ツイッターに「大企業のロビーとバイデン・ホワイトハウスからの反対、中国共産党の脅威と闘わねばならなかった」と投稿した。

同自治区における人権弾圧を「ジェノサイド」と認定したバイデン政権が法案に消極的だったとは言い切れないが、議会超党派の強い働きかけに背中を押され、政権が議会との調整に前向きになったのは事実である。

民主党側からはマクガバン下院議員が「ウイグル人の搾取を阻止する」として法案を提出して一本化を主導。サキ大統領報道官は14日の声明で、法案はバイデン大統領が先進7カ国(G7)を通じて唱えてきた「世界規模の供給網からの強制労働の排除」を確実にすると評価した。

上院本会議は16日、空席となっていた次期駐中国大使にバーンズ元国務次官をあてる人事も承認した。北京冬季五輪への外交的ボイコットに続いて、人権問題に集中した最大級の国際圧力を習近平政権に加える態勢が整ったといえる。人権外交に積極的な欧州諸国の対応も問われてくる。

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