九州大が「脱炭素」へ重点投資の長期ビジョン

長期ビジョンについて説明する九州大学の石橋達朗総長(左)
長期ビジョンについて説明する九州大学の石橋達朗総長(左)

九州大学は16日、2030(令和12)年に向けた方針を示した長期ビジョンを公表した。「総合知で社会変革を牽引(けんいん)する大学」を掲げ、重点投資して取り組む研究に「脱炭素」「医療・健康」「環境・食料」の3項目を挙げた。九大の強みを生かし、世界トップレベルの教育・研究機関への飛躍を目指す。

九大は11月に文部科学省から世界最高水準の教育・研究を目指す「指定国立大学法人」の指定を受けた。指定は東京大や京都大などに続き10校目で、経営の裁量が広がるなどのメリットがある。長期ビジョンは指定を踏まえ、大学改革を推進する狙いで策定した。

重点項目の3項目は、九大が強みとする分野。脱炭素については、水素エネルギーなど次世代技術による省エネ推進を掲げ、医療・健康分野では、遠隔医療システムを通じて国際医療に寄与。環境・食料分野ではICT(情報通信技術)を活用し、スマート農業などを推進する。

長期ビジョンでは合わせて、「ガバナンス」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」など8つのテーマで、人材育成や課題解決への貢献を示した。「財務基盤」の項目では、安定財源の確保で、持続的な経営を実現することを示した。各ビジョンで示す目標の達成で、新たな社会・経済システムを創出し、大学として新しいステージを目指す。

九大によると、指定国立大学法人の申請にあたり、世界大学ランキングを公表するイギリスの大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ」(QS)の学問領域ごとの評価で、2030年までに10分野以上が100位以内に入ることを掲げた。国際的な大学評価ランキングで、日本勢は近年、順位の低迷が指摘されており、九大は取り組みの推進で日本の地位向上に寄与する。

記者会見した石橋達朗総長は「自由闊達(かったつ)な研究で、未来を築く探求心旺盛な学生を育成し、国際頭脳循環の創出を図る」と語った。一方、世界と肩を並べる先進的な研究大学を支援するため、政府が創設予定の10兆円規模の「大学ファンド」について、石橋氏は、支援対象校の応募に関する議論を学内で進めているとした。(一居真由子)