朝晴れエッセー

心の動くほうへ・12月16日

正社員試験を受けようと思ったのは48歳。3年前の春のことだ。家計は苦しく、子供たちには苦労をかけてきたが、就活も撃沈した。

そんなとき、15年パートとして働いてきたイタリアン飲食チェーンで、転勤なしの正社員登用が始まった。落ちたら働き続けにくいなぁ。でも、正社員は最後のチャンスかもしれない、と夫に相談してみた。

「正社員受けようと思う。受かるかは分からんけど、落ちたら落ちたで考えるわ」「それ、相談ちゃうやん! もう決めてるやん!」。すみません、いつもそうでした。

思い返せば高校も日本初の学科の1期生、専門学校も1期生。親が止めても聞かなかったなぁ。いつも新しい挑戦に心が動く。日々の生活に追われて忘れかけていた私の本質だ。

幸いにも合格を頂き、同じ職場ではあっても新しいチャレンジが始まった。

視点が変わると仕事の見え方が変わる。新しいことを学ぶのは新鮮だった。

土日祝、お盆も正月も出勤した。困ったときには周りの先輩社員、店の仲間に助けられてきた。夫は家で仕事をしながら家事を引き受けてくれている。

子供たちには「迷ったら好きなほう、心の動くほうを選べ」と言っている。

社会人3年目の息子は小学校から大学までとことんサッカーに打ち込んだ。娘は家計を気にして一度は諦めた韓国交換留学の夢を自力でかなえた。

好き、は人生でいちばん大切だ。だからこそ顔を上げ、心の動くほうへ進みたい。

佐藤かおり 52 兵庫県西宮市