FRB、引き締めへ急旋回 インフレ制御、来春利上げに布石

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長(AP)
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長(AP)

【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)が記録的な物価上昇に対応するため、金融引き締めを急ぐ政策転換を鮮明にした。事実上のゼロ金利政策を2022年春にも解除できる環境を整え、23年末にかけて政策金利を2%台に引き上げる道筋を描いた。物価上昇が「一時的だ」とする従来の見解を既に撤回していたパウエル議長は今後、インフレ制御に本腰を入れる構えだ。

FRBが15日公表した経済見通しは、連邦公開市場委員会(FOMC)の18人の参加者中、12人が22年に3回以上の利上げを見込んだ。前回9月は9人が22年の金利据え置きを想定しただけに、FRBが積極的な利上げを進める「タカ派」に「急旋回した」(米投資家)と受け止められた。

わずか3カ月で方針転換した背景には、物価高が長期化する懸念が現実味を帯びてきたことがある。11月の消費者物価指数は前年同月に比べ6・8%上がり、約39年ぶりの高さとなった。

15日に記者会見したパウエル議長は、「価格上昇が今や幅広いモノやサービスに広がってきた」と述べ、インフレが「定着するリスクが高まった」とした。

パウエル氏は11月末の議会公聴会で、物価高が「一時的」とする見方を撤回。この日は、物価の先行きに影響を及ぼす可能性がある賃金上昇率が「ここ数年でもっとも速いペース」と言及し、物価上昇圧力の高まりに警戒感を示した。

11月は平均時給の伸び率が前年同月比4・8%となり、賃金の上昇傾向が続いている。また、失業率も4・2%と前月から0・4ポイント改善し、労働市場の引き締まりが意識されている。

一方、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が米経済の先行きを不透明にしている。FRBは15日、米国債を買い入れる量的金融緩和策の終了を来年3月に前倒しする計画を決めたが、パウエル氏も「見通しへのリスクだ」と認める。

ただ、パウエル氏は年末商戦での個人消費の力強さなどを例に挙げ、緩和縮小の前倒しについて「適切な対応だ。オミクロン株は(縮小計画に)大きな影響を及ぼさない」と強調。インフレをもたらす景気過熱に対応するため、コロナ禍後の大規模緩和を早めに終わらせ、金融政策の「正常化」を急ぐ方針に自信をみせた。

米FRB、来年3回利上げ 量的緩和3月終了 記録的インフレ制御へ引き締め