米国防権限法案が議会通過 87兆円、対中抑止に重点

米連邦議会議事堂=ワシントン(AP)
米連邦議会議事堂=ワシントン(AP)

【ワシントン=大内清】米上院は15日、2022会計年度(21年10月~22年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案を賛成88、反対11で可決した。下院は7日に可決しており、法案は議会を通過した。バイデン大統領の署名を経て成立する。総額は前年度比で約3・6%増の約7682億ドル(約87兆円)。覇権主義的な行動を強める中国をにらみ、インド太平洋地域での抑止力強化に向けた「太平洋抑止構想」(PDI)への予算を増額するなど中国への対抗姿勢が鮮明となった。

PDIには、バイデン政権が5月の予算教書で求めていた額よりも20億ドル多い約71億ドルが充てられた。国防総省はPDIを活用して、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約が19年に失効したのを受けて配備可能になった地上配備型中距離ミサイルや、極超音速兵器の開発などを進めるとしており、議会としてもこれを強く後押しする。

また法案は、人権弾圧が深刻化する中国・新疆ウイグル自治区での強制労働による製品を国防総省が調達することを禁止。中国が威圧を強める台湾の防衛力維持に必要な能力を開発することへの支持を表明した。

このほかにも、中国が人工知能(AI)やサイバー戦能力の強化を進めていることなどを念頭に、先端技術の研究・開発予算としてバイデン政権の要求額に大幅な上乗せを認めると強調。政権側に先端技術分野への投資を強化するよう促した。

一方、バイデン政権が8月に駐留米軍の撤収を完了させたアフガニスタンについては、約20年に及んだ戦争を検証する独立員会を設置するよう求めた。