大阪府岸和田市の不動産会社「フジ住宅」が配布した社員教育用の文書資料などをめぐり、同社会長と同社に、パート従業員の在日韓国人女性(50代)への損害賠償の支払いと一部の性格の文書資料配布の差し止めを命じた大阪高裁判決(11月18日言い渡し)について、再度見ていきたい。判決を読むと、北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」着用を高裁が禁止した措置への不可解さが募るのだ。
「差別被害」主張への対抗?
大阪高裁で判決のあった訴訟は、原告の従業員女性が、民族差別的な文言が一部に含まれた韓国・北朝鮮・中国批判の記事や論考などを社員教育の一環として配布され、「精神的苦痛を受けた」として提訴。大阪高裁の控訴審判決は、損害賠償額を1審・大阪地裁堺支部判決から約20万円増額し、132万円の支払いを同社側に命じた。控訴審で原告側が求めた同種の文書資料の社内配布差し止めについては、「差別的言辞」が含まれる韓国批判に限り禁止した。