【ロンドン=板東和正、北京=三塚聖平】リトアニア外務省は15日、駐中国代理公使が首都ビリニュスに帰国すると発表した。ロイター通信によると、大使館員ら19人は帰国の途に就いた。台湾問題をめぐり、中国との関係が急速に悪化したことが背景にあるとみられる。
中国は11月、リトアニアが台湾の名称を用いた代表処(大使館に相当)の設置を認めたことを受け、リトアニアに大使を置かない外交関係の格下げを発表していた。
ロイターは事情に詳しい外交筋の話として、大使館員らは「(中国側の)脅し」への対応として出国したと報じた。
リトアニア外務省は中国在住者の領事業務を遠隔で続けると表明。大使館業務の再開に関し、中国側と「協議を続ける用意がある」とした。
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は16日の記者会見で、在中国リトアニア大使館員らが「脅し」への対応から出国したと報じられていることに対し「リトアニア側は、自らの安全にどのような問題があるか中国に伝えていない」と反発した。
汪氏は「中国は、外国の在中外交機関の安全について、一貫して高度に重視、保障している」と主張。同時に、リトアニア側に対して「中国の主権と核心的利益に損害を与える誤った行為を、できるだけ早く正すことを求める」と強調した。