共通テストまで1カ月「全入時代」で競争緩和加速

来年1月15日から実施される大学入学共通テストまで1カ月を切った。新型コロナウイルスの新株「オミクロン株」に対する警戒感が高まるなか、現役高校生の共通テスト志願率は過去最高に。少子化に伴う受験人口の減少を受け、新入生を確保するため多くの大学が合格者を増やし、競争の緩和が見込まれる。より合格しやすい環境の到来に、専門家は「志望校のレベルを落とさず強気で挑んでほしい」と話している。(玉崎栄次)

オミクロン株

「10月にワクチンは接種しているが、オミクロン株で受験に影響が出ないか心配。感染状況はこのまま落ち着いていてほしい」

東京都立高3年の女子生徒(17)=江戸川区=は不安をこう口にする。「2度目の共通テストは出題傾向も変わるといわれているし…」と心配顔で追い込みをかけている。

共通テストの実施日は来年1月15、16日。コロナ感染に配慮し、2週間後の29、30日に追試験が行われ、47都道府県に会場が設けられる。国公私立大の個別試験でも追試や振り替え受験の機会が設けられる。

大学入試センターによると、来年1月の共通テストの志願者数は53万367人(前年度比4878人減)。このうち現役生は44万9369人(同426人減)で、来年4月に高校卒業見込みの全生徒のうち志願者の割合(現役志願率)は45・1%(同0・8ポイント増)で過去最高となった。

難化予想も

大手予備校「河合塾」の近藤治・教育研究開発本部主席研究員によると、共通テストは2度目となり、出題のされ方や平均点などがつかめたことで「未知の試験」という恐怖心が薄れた。さらに、共通テストの成績で合否判定を行う入試方式を採用する私立大が目立ったことも、共通テストの現役志願率を押し上げた一因とみられる。

ただ、初回の共通テストは平均点が高かったこともあり、今回は出題の難化も予想される。難化によって目標とする点数が取れなかった場合でも、近藤氏は「一番いけないのは、志望校のレベルを下げるなど安全策を取りすぎること。他の受験生も同じことを考えるため、その安全策が結果的に危険策となる恐れがある」と注意を促す。

「気持ち強く」

今回の入試では志願者が定員を下回る「全入時代」が到来する。新入生を確保するため、私立大を中心に合格者数を増やす傾向があり、日本私立学校振興・共済事業団による私立大の志願動向を分析すると、競争緩和で合格しやすい環境となっていることが分かる。

大学の規模別に平成28年度の合格者数を「100」とした場合、29、30年度には大規模大を中心に絞り込む動きがみられたものの、受験人口の減少に伴い状況は一転。その後は右肩上がりで増えており、前回の令和3年度入試では大規模大で「119」と2割近くも増えている。

今回の入試でも大学側が合格者を増やす動きは継続される見通しで、競争はさらに緩和するとみられる。

一方、河合塾の調査によると、東京大や京都大など難関国立大では志願者の増加が予想される。とはいえ、この数年を振り返ると、私立大ほどではないにせよ競争緩和の傾向が目立つ。

例えば、東大の志願者数(前期日程)は平成30年度に9675人だったが、その後減り続け、前回の令和3年度は9089人に。募集人員は3060人と一定であるため、数値の上では合格しやすくなっているといえる。

近藤氏は「数年前の受験生なら手が届かないとされていた大学でも、大学側が近づいてきてくれて狙える時代になっている。より努力が報われやすくなっているので、気持ちを強く持ってもうひと踏ん張りしてほしい」と語った。

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