安倍、菅両氏から学んだ? 首相、手堅い答弁力

衆院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=15日午前、国会・衆院第1委員室(矢島康弘撮影)
衆院予算委員会で答弁する岸田文雄首相=15日午前、国会・衆院第1委員室(矢島康弘撮影)

令和3年度補正予算案が15日、衆院を通過し、国会論戦は前半を終えた。岸田文雄首相は初めての一問一答形式の予算委員会に臨んだが、これまでのところ手堅い答弁ぶりで野党に付け入る隙を与えていない。首相の答弁力は安定政権に欠かせず、16日以降の参院の論戦でも維持できるかどうかが注目される。

「ご指摘は謙虚に受け止めたい」

「混乱は否めない。申し訳ない」

野党議員の追及や批判に対し、首相はこうした丁重な態度に徹した。答弁内容も的確で、審議が止まる場面もなかった。まじめで温厚な性格を表すような対応だが、時には老獪(ろうかい)さも見せた。18歳以下への10万円相当の給付では論戦初日に与党の質疑で「年内の現金一括給付」を容認。野党の追及を受ける前に争点を薄めた。

野党は攻めづらい様子で、対決姿勢をとる中にも「首相の『聞く力』のたまもの」(立憲民主党・逢坂誠二氏)、「英断に感謝する」(日本維新の会・足立康史氏)といった言葉が散見され、迫力不足は否めない。

予算委は事前に用意された原稿を読み上げる代表質問と異なり、当意即妙な対応が求められる。議題設定の権限は質問者側にあり、答弁に納得いかなければ繰り返し追及を受ける。

菅義偉前首相は、同じ回答を繰り返し「壊れたレコード」と揶揄(やゆ)され、閣僚に答弁を振る場面も目立った。官房長官時代まで菅氏の「寡黙」は「怖さ」と受け取られ、政治力の源泉となっていたが、首相就任後は「説明不足」と映り、政権は支持を失った。

安倍晋三元首相は野党の質問者に反論し、時には挑発する言動もあった。野党の批判の的となる一方、保守層から高い支持を集め、長期政権の原動力となった。

立民の小川淳也政調会長は15日、首相の答弁について「慎重で丁寧で評価できる部分もあろうかと思うが、論戦としては盛り上がりに欠ける」と指摘。「ぜひ踏み込んだ積極的な答弁を参院ではお願いしたい」と呼び掛けた。(石鍋圭)