第二次世界大戦後、超大国として共産主義陣営を率いたソ連が、米国との冷戦の末に崩壊してから12月25日で30年になる。ソ連の後継国家ロシアは当初、欧米型の民主主義国家を目指したが、プーチン政権は強権的な政治姿勢を強め続けており、欧米との対立が先鋭化している。ロシアは過去をどう総括し、どのような未来に向かおうとしているのか。日本がとるべき対露政策も含めて、防衛研究所政策研究部長の兵頭慎治氏と同志社大准教授の立石洋子氏に聞いた。
〝反米親中〟に傾くプーチン氏 日本の対露政策は転換点
ソ連崩壊から30年を経て、その約3分の2の期間においてロシアを率いたプーチン大統領が、現在も6割超の高支持率を得ている。ソ連崩壊後の政治、社会的大混乱から、ロシアを安定化に導いたとの認識を、ロシア国民が共有していることが背景にある。強いリーダーを望むロシアの政治文化も、高支持率の理由だろう。
ただ、プーチン氏は現在69歳。以前のような勢いはなく、支持率も徐々に下落しつつある。2014年のウクライナ南部クリミア半島の併合のような〝ダイナミック〟な政策を展開する余裕はみられない。憲法改正で自身の長期政権の道を開いたり、予算をばらまいたりして、権力維持に腐心しているのが実態だ。
プーチン氏も、権力を移譲する考えではいるだろう。ただ政権が長期化するほど、後継者が見いだしにくくなるという悪循環に陥っている。憲法改正で任期を延ばしたのも、後継者が見つからなかった場合に自分が大統領を続けられる選択肢を、残さざるを得なかったためではないか。