【北京=三塚聖平】中国国家統計局が15日発表した11月の主要経済指標によると、消費動向を示す小売売上高は前年同月比3・9%増だった。伸び率は前月を1・0ポイント下回り、3カ月ぶりに減速した。中国各地で新型コロナウイルスの散発的な流行が続いていることを受け、「ゼロコロナ」政策の下で移動制限など厳しい措置がとられていることが響いた。
コロナ対策の影響を受けやすい飲食店収入は2・7%減で、3カ月ぶりにマイナスに転じた。消費の柱である自動車は9・0%減とマイナスが続いている。
一方、工業生産は3・8%増だった。前月から0・3ポイント拡大し、2カ月連続で加速した。9月を中心に深刻化していた電力不足や、世界的な半導体不足の影響が緩和されたことを反映したが、主要産品の生産量では自動車やセメント、粗鋼のマイナスが続いている。
企業の設備投資を含む固定資産投資は、1~11月の累計で前年同期比5・2%増だった。1~10月の6・1%増から減速。道路などのインフラ投資は0・5%増にとどまる。不動産開発投資も6・0%増で伸びが鈍化した。巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手、中国恒大集団の問題など不動産市場の冷え込みが足かせとなっている。
中国共産党と政府が2022年の経済政策の基本方針を策定する中央経済工作会議が今月8~10日に開かれ、中国経済について「需要縮小、供給面の衝撃、期待低下という3つの圧力に直面している」と強調。統計局の付凌暉(ふ・りょうき)報道官は15日の記者会見で、世界的なコロナ禍や、サプライチェーン(供給網)の停滞、原材料価格の高騰といった下押し圧力を受けていると指摘した。