千葉県の熊谷俊人知事は15日、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」が拉致被害者と認定した古川了子(のりこ)さん(66)=失踪当時(18)=の姉で千葉市若葉区在住の竹下珠路さん(77)と県庁で面会した。拉致問題の解決に向け、県内での啓発活動や被害者救出後の対応などについて話し合われ、熊谷知事からは前向きな返答があったという。
面会は10分あまりで、冒頭を除いて非公開で実施された。竹下さんが県内における特定失踪者の状況や、北朝鮮工作員の活動事例などを説明。拉致問題の啓発に大規模集会の開催をはじめとした、より効果的な取り組みの実施▽県の事業として「北朝鮮人権映画祭」などを検討▽被害者が帰国した場合の受け入れに向けた準備-といった要望がなされた。
また、竹下さんは「特定失踪者問題調査会」が拉致の可能性を排除できないとした特定失踪者の家族らがまとめた単行本『「ただいま」も言えない 「おかえり」も言えない』を贈呈した。
竹下さんによると、熊谷知事は「県として放っておくことはできず、県民の皆さまにもっと啓発できるように努力したい。帰国の問題については国とも相談しながらやっていく」などと話したという。
古川さんは昭和48年7月、予約していた美容院に「出かけるところができた」などと電話でキャンセルを伝えてから失踪。その後、北朝鮮の元工作員が「1991年に平壌市内の病院にいた女性と似ている」と証言し、拉致の疑いが強まった。
竹下さんは妹の古川さんについて「18歳でいなくなってから48年以上がたち、この1月には67歳になる。これ以上年月がたつと、私を含めて全国の家族がつぶれてしまうかもしれない。本当に一刻も早く取り返していただきたいという思いです」と心情を吐露した。