信頼性揺らぐ国の基幹統計 過去にも不正、繰り返す不祥事

国土交通省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)
国土交通省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)

国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」の書き換え問題は政府の統計や経済政策の信頼性を揺るがしかねない。基幹統計として他の主要統計に用いられるとともに、景気判断や重要な政策立案の根拠になってきたからだ。政府統計では厚生労働省の毎月勤労統計の不正で3年前に一斉点検が行われたにもかかわらず不祥事が繰り返されたことになり、実態解明と徹底した再発防止が求められる。

同調査は国内総生産(GDP)や景気に関する政府の公式見解を示す月例経済報告などで、公共投資の現状を判断する参考指標になる。中小企業庁の支援制度で対象の「不況業種」を選定する判断材料にもなる。

政府は今後、統計結果の見直しなどを迫られる可能性があるが、内閣府担当者は「細かい点を問い合わせているのに、国交省から返事がない」と溜息をつく。

平成30年12月に毎勤統計で不正が判明した際は、昭和55年1~3月期から平成30年7~9月期の統計結果を一斉点検し、内閣府が経済の実力を示す潜在成長率や需要と供給の差を示す需給ギャップ(GDPギャップ)など約30カ所の修正を余儀なくされた。また、雇用保険の失業給付が本来支払われる金額より少なくなるなど、実害も発生した。

一斉点検では国交省の統計についても精査されたはずだが、二重計上は改められなかった。国交省担当者は平成25年度から8年間、歴代担当者が同じ業者の受注を二重計上する処理を続けたことについて「『なんでだろう』と思った人はいるかもしれないが、そういうものだと慣習で続けていた」と漏らしており、自浄作用は発揮されなかった。

政府統計の信頼回復には、どのような対応が考えられるのか。野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは、統計の専門家ではないキャリア官僚が統計部署の管理職に配置されることが多いことで、不正を見抜けない構造的問題があると指摘。「政府統計を総務省や新設の部門に集約し、専門性の高い管理職の下で業務を行うような大きな組織改編も検討すべきだ」と指摘する。

(永田岳彦)