政府の18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、15日も静岡県内の自治体では年内の現金一括給付を決める動きが相次いだ。岸田文雄首相の方針転換を受け、少なくとも静岡市、富士市など8市町が、議会などと調整の結果、年内と来年の2回に分ける分割給付方針から「一括」に切り替えた。
8市町は静岡、富士両市のほか、熱海、富士宮、裾野、湖西の4市と小山、吉田の2町。
うち静岡市は申請不要の中学生以下には28日に、高校生のみの世帯など申請が必要な対象者には来年1月20日以降に、それぞれ給付。申請は今月22日から受け付ける予定だ。
静岡市の田辺信宏市長は15日、記者団の取材に対し、一括給付を決めた理由について、現金給付を望む多くの市民の声などを挙げた。首相の方針転換については「もう少し早く決めてほしかった」と苦言を呈した。政府が自治体の独自財源からなら実施を容認した、対象世帯の所得制限撤廃はしない考えを示した。
同市によると、一括給付は対象世帯への口座振り込み手数料が1回分で済むなど、事務経費約1500万円の節減が見込まれるという。
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「私自身、朝令暮改」富士宮市長、二転三転の政府に皮肉も?
15日、年内の10万円一括給付にかじを切った富士宮市の須藤秀忠市長は、14日の記者会見で「年内の一括給付は難しい」との見解を示したばかりだった。分割給付での最初の支給日が目前に迫るなど事務手続きを理由に挙げていた。
ところが、翌日に一転して方針を変更。須藤市長は15日発表したコメントで、一括給付に向けて調整を重ねた職員や議会などに感謝した上で、こう自戒した。「まさに私自身、朝令暮改であります」。年の瀬が迫る中、給付方法が二転三転し、振り回された政府への皮肉も込めたようだ。