政府の18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、静岡県内の35市町のうち、浜松市など4市町が年内の全額現金一括支給を決めたことが14日、産経新聞の調べで分かった。年内の現金一括給付も選択肢と表明した岸田文雄首相の発言を受け、年内と来年の2回に分けて給付する予定を変更した。一方、17市町は予定通り2回に分けて現金で給付する方針で、首相発言に戸惑いを隠せない。
年内の全額現金一括支給を決めた4市町は浜松市のほか、伊東市、西伊豆町、川根本町。浜松市の鈴木康友市長は14日、迅速な給付を求める声が多いと指摘した上で「2回に分けてとかクーポン券となると、給付にかかる費用がかさむ。速やかに一括交付が最適だろうと判断した」と語った。 初回分として5万円を給付する予定だった28日に全額の10万円を、申請の必要のない対象者に振り込む。申請が必要な対象者には、年明け以降に10万円を給付。市の一般財源から立て替える形となる。
27日に給付予定の伊東市の担当者も、「なんとかギリギリで対応できるようになった」という。13日に「5万円」として初回給付の通知文書を発送する予定だった西伊豆町は首相発言を受け急遽(きゅうきょ)、文面を修正して14日に発送した。
5市は年内の現金一括支給を検討中だが、「(初回給付の)通知文書を発送済みで、非常に厳しい。早急に結論を出したい」(沼津市)との声が多い。
一方、予定通り2回に分けて現金で給付する17市町は、月内の初回の5万円給付日に向けて事務手続きを急ピッチで進めており、時間的に一括給付は困難と判断。申請の要・不要にかかわらず、年内に初回給付となる焼津市は「もう給付手続きを完了済みで対応できない」と言い切る。
政府の二転三転する方針変更には、複数の市町の担当者から「振り回された」「この時期に一括給付してもいいといわれても…」との恨み節が漏れる。
◇
【10万円相当の給付をめぐる35市町の最新の動き】
※14日時点。市町による今後の検討で変更の可能性がある
◆年内に全額現金一括
浜松市、伊東市、西伊豆町、川根本町 ※高校生のみの子供がいる世帯など申請が必要な人には年明け以降に一括支給
◆年内に全額現金一括を検討中
沼津市、富士市、藤枝市、袋井市、伊豆の国市
◆2回に分けて全額現金
静岡市、富士宮市、島田市、磐田市、焼津市、掛川市、御殿場市、裾野市、湖西市、牧之原市、菊川市、伊豆市、東伊豆町、清水町、長泉町、吉田町、森町
◆先行給付は現金、残り分は未定
熱海市、三島市、下田市、御前崎市、河津町、南伊豆町、松崎町、函南町、小山町