台湾有情

国際政治に翻弄される若者

中米のニカラグア政府は9日、台湾と断交し中国と国交を回復した。ニカラグアの首都、マナグアにあった台湾の大使館が直ちに閉鎖され、外交官たちは国外退去を命じられた。

ある台湾の元外交官は「断交された場合、出国のタイムリミットを言い渡されることもあるので、いつでも引っ越しできるよう常に荷造りができている状態だった」と現役時代を振り返った。「台湾外交官の悲しいところだ」と嘆いた。

蔡英文政権が2016年に発足した当時、台湾と外交関係がある国は22カ国だったが、5年余りで8つも減り過去最少の14カ国となった。中国の外交攻勢は強まる傾向にあり、今後、外交関係国はさらに減る可能性がある。

断交で悲しい思いをするのは外交官だけではない。知り合いの台湾人医師によると、勤め先の病院に複数のニカラグアからの若い研修医がいたが、断交に伴う支援プロジェクトの中止により、急遽(きゅうきょ)帰国することになった。突然の別れに本人たちはもちろん、苦楽を共にしてきた医師、看護師たちも涙したという。

台湾各地の大学には現在100人以上のニカラグア人留学生がいるが、奨学金打ち切りに伴い帰国を余儀なくされる可能性もある。ニカラグア政府の外交判断は多くの若者の人生を大きく変えた。(矢板明夫)