【北京=三塚聖平】中国各地で、来年2月に迎える春節(旧正月)に合わせた帰省や旅行の自粛を呼び掛ける地方当局が早くも相次いでいる。各地で新型コロナウイルスの散発的な流行が続いていることに加え、北京冬季五輪の開催が控えていることが影響している。新変異株「オミクロン株」が中国本土でも初確認されており、警戒がさらに強まることが必至だ。
中国メディアによると、河北省張家口(ちょうかこう)市経済開発区は9日付の通知で、区全域の共産党・政府機関、国有企業の幹部職員に対し、春節期間中に国内外の移動を控えるよう求めた。国内各地で感染拡大が起きていることを踏まえた措置だという。張家口には、北京冬季五輪の主要会場がある。
上海市当局も8日、新年や春節の期間中に不要不急の市外への移動や、人が多く集まる活動を避けるよう呼び掛けている。
来年の春節は2月1日で、それに合わせて大型連休となる。例年は多くの人が帰省や国内外を旅行して「民族大移動」とも表現されるが、今年の春節もコロナの再流行警戒で自粛が促されており、2年連続で異例の春節を迎えそうだ。
今月13日にはオミクロン株が中国本土で初確認されたことが判明。天津市で、欧州からの入国者から検出された。14日には南部の広東省広州市でも海外からの帰国者の感染が確認された。中国は「ゼロコロナ」政策を掲げており、北京冬季五輪に向けてさらに防疫措置を強めるとみられる。