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アニメより「カウントダウン」に大興奮…日本初の赤ちゃん向け番組「いないいないばあっ!」25周年

ワンワン(左)とうーたん(中央)とはるちゃん(右)。特別番組の「いないいないばあっ!25周年スペシャル」が26日午前7時25分から、「ワンワン25」が大みそかの午前9時から放送される
ワンワン(左)とうーたん(中央)とはるちゃん(右)。特別番組の「いないいないばあっ!25周年スペシャル」が26日午前7時25分から、「ワンワン25」が大みそかの午前9時から放送される

NHK(Eテレ)の0~2歳児向け番組「いないいないばあっ!」は今年、放送25周年を迎えた。日本で初めての赤ちゃん向け番組として研究と工夫を重ね、世代を超えて愛されてきた。専門家は「赤ちゃんが楽しむだけでなく、育児に悩む親も救ってきた」と話す。

「今日も元気なワンワンでーす!」。テレビ画面の向こうから、緑と白のふわふわした〝ワンワン〟が手を振ると、赤ちゃんの視線はくぎ付けになる。朝と夕方に放送される15分の同番組は、ワンワンや女の子たちが遊ぶスタジオ、季節の風景を大事にしたロケ、素朴な絵と音楽によるアニメという、3つのパートで構成されている。

制作を手掛けるNHKエデュケーショナルの中村裕子チーフ・プロデューサーは「スタジオは2カ月くらいだが、ロケは1年、アニメは1年半くらいの時間をかけて作っている」と話す。大事にしているのは「赤ちゃんの感受性を育む」こと。「季節感を取り入れたいので、ロケは1年前に行っておかないと、放送に間に合わない。アニメも、赤ちゃんの反応を見て作るので、普通の番組より時間がかかる」

平成に入り、核家族や共働き家庭の増加などライフスタイルの変化もあり、乳児がテレビを見る時間が増えたといわれる。その「受け皿」として8年4月に番組はスタート。認知発達の専門家らと協力し、0~2歳児の集中力を考え、短いコーナーをつないでいく構成が出来上がった。

赤ちゃんの情報処理の発達具合を考慮して、できるだけ音も色彩もシンプルに。その時々の最先端の研究結果も取り入れ、画面に反映している。「いかに赤ちゃんに見てもらうか。25年も続けていると、だいぶノウハウは積み上がっている。でも、いまだに赤ちゃんの気持ちは完全には分からない」

試行錯誤の連続だ。試作品のアニメを、モニターの赤ちゃん達に見せたときのこと。アニメ本編ではなく、始まる前の3、2、1という単純なカウントダウンの方に食いついた。「『そっちか~!』って、なりましたよ。もちろん作り直し」と笑う。

実は25年前から、番組の内容自体はあまり変わっていない。「当初から、赤ちゃんのことをよく考えて作られていたということ。あと、頻繁に大幅な改変を繰り返す番組は、保護者に安心して見てもらえないという理由もある」

かつては、テレビが乳幼児の言語発達を遅らせるという話もあり、赤ちゃんにテレビを見せる保護者が肩身の狭い思いをした時代もあった。

乳幼児教育に詳しい恵泉女学園大の大日向(おおひなた)雅美学長(発達心理学)は「言語発達が遅れるのは、起きている間、ずっと見ていたような場合。養育環境全体の問題を、テレビだけのせいにされた」と振り返る。「テレビは道具で、どのように使うかが大事。親が忙しい朝や夕方の時間帯に、安心できる番組を見せることはベストな選択だ」として、「赤ちゃんのことを考えて作られた番組は、親子のコミュニケーションツールとしても、よくできている。育児に悩む親を救うこともある。番組が世代を超えて愛されている理由だろう」と話した。

緑の耳に、白いふわふわのおなか。それがワンワンだ。うたい文句は「永遠の5歳児」。25年間演じるチョーさん(63)は「そこまで言った覚えはないんだけど」と苦笑いする。年月を重ねた今は、赤ちゃんが喜ぶ歌やダンスで息が切れてくる。「でも、これからも頑張る。続ける。だって、好きだもの」

平成22年に全国を巡るステージショー「ワンワンわんだーらんど」が始まったことで、ワンワンはスタジオを飛び出し、より多くの赤ちゃんたちと触れ合うことができるようになった。「赤ちゃんたちに会えるのが一番楽しい。保護者の方含めて、みんなで幸せな空間を作れる。僕も幸せだ」と話す。撮影でも、いつも画面の向こうにいる赤ちゃんを思い浮かべ、呼びかけている。

成長するにつれ、みんなワンワンのことを忘れていく。「でも、それでいい」と笑う。「忘れちゃうかもしれないけど、ワンワンはずーっと一緒だよ。ずーっと見ているからね」