10万円給付、自治体で相次ぐ「年内現金一括」表明

給付金のお知らせ
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18歳以下の子供への10万円相当の給付に関し、岸田文雄首相が年内に一括給付することを認める考えを示したことを受けて14日、「現金一括」を表明する自治体が相次いだ。実務を担う自治体は二転三転する政府の方針に振り回され、怨嗟(えんさ)の声も。担当者は今後、各世帯への通知書の差し替え作業などに追われる。

「ぎりぎり間に合った。子育て世帯にとってベストな形で現金を受け取れる。首相の『聞く力』が良い方に作用した」

大阪市の松井一郎市長は14日、首相の決断を一定評価した。松井氏は住民ニーズや事務手続きの煩雑さなどを踏まえ、かねて現金で一括給付したい意向を表明。政府の方針が定まらず、いったんは一括給付を断念したが、この日改めて、年内に現金で一括給付すると明らかにした。

中学生以下には児童手当の仕組みを利用し、申請不要な「プッシュ型」で今月27日に給付する予定で、対象は約26万人。担当課では各世帯に「5万円を年内に給付する」とした通知書を送る準備を進めていたが、急ピッチで内容を差し替える。担当職員5人のうちの一人は「国に翻弄されっぱなし。遅くとも給付の1週間前までには書面を各世帯に届けたい」と話した。

年内の5万円支給に向けて、通知書の郵送を終えていた自治体は多く、10万円一括給付に切り替えたことで〝二度手間〟が発生する事態になっている。

奈良県天理市は、23日をめどに10万円を一括給付すると発表。すでに対象者には5万円給付に関する通知書を発送していたが、担当者は「通知書が届いた市民には迷惑をかけるが、周知をしっかりやっていきたい」と話した。

京都市もすでに通知書を郵送していたが、10万円一括給付を23日に行うと発表した。門川大作市長は「2度にわたって振り込むより、子育て世代にとって迅速に支給するのが最も理にかなっている」。現金とクーポンに分けて支給する場合の事務経費として10億円を予算計上していたが、一括給付により、クーポンの委託代金約7億円を削減できる見込みという。

和歌山市も14日、現金での一括給付を決めたが、尾花正啓市長は「事務手続き上、年内に一括給付できるぎりぎりのタイミングになった」と指摘。「もう少し早く政府方針を決めてほしかった。本当は少しでも早く支給したかった」と政府への不満を口にした。

とはいえ、クリスマスや年末年始を控えた各家庭に現金を一括支給できることを喜ぶ声も相次いだ。

滋賀県長浜市の藤井勇治市長は「年末年始は物入りだ。大きな支援になると考え決断した」といい、同市健康福祉部の福永武浩部長は「クーポンだと印刷など事務の手間と時間がかかることから、新学期前の3月中には間に合わない可能性があり、大変心配していた」とした。神戸市の久元喜造市長は「コロナの影響で生活が厳しい世帯が年を越すための一助になれば。スピーディーに進めたい」と述べた。