拉致啓発週間 関心低下に危機感 千葉

最下部に掲示され、他のポスターの下に隠れる拉致問題の啓発ポスター=10日、千葉県庁(小野晋史撮影)
最下部に掲示され、他のポスターの下に隠れる拉致問題の啓発ポスター=10日、千葉県庁(小野晋史撮影)

北朝鮮による拉致問題の解決に向け、社会の機運醸成を図る「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」が10日から16日まで全国で展開されている。拉致の可能性を排除できない特定失踪者には千葉県内関係者も多数含まれ、一刻も早い解決が待たれるが、近年は関心の低下が懸念される。関係者の高齢化が進む中、活動の継続には裾野の拡大が不可欠で、啓発の重要性は増すばかりだ。

県によると、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」や「特定失踪者問題調査会(調査会)」が明らかにした、県内関係者で行方不明となった特定失踪者らは12人。県警もまた、県内に居住するなどした25人について「拉致の可能性を排除できない」としている。

このうち昭和48年に県内で失踪した古川了子(のりこ)さん(66)=失踪当時(18)=の姉で、調査会が発表した特定失踪者の家族らで作る「特定失踪者家族会」の竹下珠路(たまじ)事務局長(77)=千葉市若葉区在住=は「関係者の高齢化が進み、一刻の猶予もない。多くの国民が北朝鮮で助けを待っている」と話す。

県は期間中、啓発アニメ「めぐみ」を県庁や松戸、四街道の両市役所、一宮町役場で放映。テレビやラジオでの広報も行うが、新型コロナウイルスの影響で活動内容は限定的だ。昨年は松戸、柏の両市で映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」の上映会を予定していたが中止となった。

このような中、県庁1階に掲示された啓発ポスターは一部が他のポスターの下に隠れ、拉致被害者の救出を願うメッセージが読みにくくなっていた。まるで世間の関心低下を象徴しているかのようだ。

10月には、松戸市などを地盤とする立憲民主党の生方幸夫衆院議員(当時)が「生きている人はいない」などと発言したことが発覚。このときは各方面から反発が相次ぎ、先の衆院選での落選につながった。

駅頭での署名活動を続けてきた竹下さんは、「新型コロナで接触を避けているのかもしれないが、応じてくれる人は減っている」と、危機感を募らせる。

熊谷俊人知事は今月8日、県議会本会議で自民党の中村実県議(船橋市)の一般質問に対し、「北朝鮮による拉致問題は、わが国の主権および国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、大変許しがたい行為」と答弁。「すべての拉致被害者が1日も早く帰国できるよう、わが国が総力を挙げて取り組んでいかなければならない」と強調した。翌9日からは拉致被害者の救出を願うブルーリボンバッジも着用している。

15日には県庁で竹下さんと面会するが、活動への支援要請にどこまで応えられるかは今後の注目点だ。(小野晋史)