英政権「コロナ下でパーティー」醜聞に揺れる

新型コロナウイルス対応について国民向けに演説をするジョンソン英首相=12日、ロンドン(ロイター)
新型コロナウイルス対応について国民向けに演説をするジョンソン英首相=12日、ロンドン(ロイター)

【ロンドン=板東和正】ジョンソン英政権が新型コロナウイルスの規制をめぐるスキャンダルに揺れている。英メディアは、屋内での同居人以外との集まりが原則として禁じられていた昨年12月、首相官邸でクリスマスパーティーが開催されていたとの疑惑を連日報道。ジョンソン首相の責任を問う声が与党・保守党内で強まり、不信任投票の実施も取り沙汰されている。

疑惑は昨年12月中旬に首相官邸でパーティーが開かれていたとする大衆紙ミラーの報道が発端。BBC放送などもこの問題を追及している。パーティーで数十人の官邸職員らがワインを飲み、真夜中を過ぎてもクイズに興じていたと報じられ、国民から怒りの声が上がっている。

当時の英国では変異株の影響で感染が拡大しており、政府は厳しい行動規制を導入していた。ロンドンなどでは屋内で別世帯と集まりを持つことが仕事上の理由を除いて禁じられ、職場のクリスマスパーティーも禁止されていた。政府の規制に従い、親戚と会えなかったというロンドン市民の男性(40)は「ジョンソンは国民に我慢を強いるのに、自分の同僚は特別に扱うのか」と憤った。

ジョンソン氏自身が規制に違反した疑惑も浮上した。ミラー紙は11日、ジョンソン氏が昨年12月中旬に首相官邸で開かれた別のクイズ大会に参加したと報道。ジョンソン氏がクイズ大会で2人の職員と同席している写真も掲載した。

BBCによると、首相官邸側は「クイズ大会はオンライン形式だった」と弁明し、2人の職員はジョンソン氏のオンライン通話を手助けしていたと釈明したが、批判は強まる一方だ。

英調査会社サバンタ・コムレスが12日に発表した世論調査によると、約千人のうち約54%が「ジョンソン氏は辞任すべきだ」と回答。保守党の支持率も、英調査会社ユーガブの9~10日の調査で32%に落ち込み、最大野党・労働党(40%)を下回った。

保守党内でも「ジョンソン降ろし」の動きが出ている。新変異株「オミクロン株」の感染拡大が懸念される中、「ジョンソン氏が首相のままでは、政府が新たに打ち出す規制を国民が受け入れない」(元下院議員)との危機感があるためだ。

英紙タイムズなどによると、一部の保守党議員はジョンソン党首に対する不信任投票を行うよう、同党下院議員で構成される委員会に書簡で要求する方針。同党下院議員の15%に相当する54人の書簡が集まれば、投票が行われる。ただ、その場合も不信任票が過半数に達しないとジョンソン氏が党首辞任に追い込まれることはなく、首相交代の可能性は低いとみられる。