武蔵野市住民投票条例案 周知不足指摘に市長「議会は努力したのか」

武蔵野市議会の住民投票条例案をめぐる総務委員会で質問に答える松下玲子市長=13日午後、東京都武蔵野市(松井英幸撮影)
武蔵野市議会の住民投票条例案をめぐる総務委員会で質問に答える松下玲子市長=13日午後、東京都武蔵野市(松井英幸撮影)

日本人と外国人を区別せずに投票権を認める東京都武蔵野市の住民投票条例案が13日、市議会総務委員会で可決された。実質的な外国人参政権との指摘や、市民の理解不足への対応などを問う声が次々と上がる同条例案は、21日の本会議で成立の可否が問われることになる。

「意見の中に外国人のものがあっても、日本国民としての独立の気風が失われることがないことは過去の歴史からも明らか。一緒に暮らす地域の一員として互いを尊重し、外国人と支え合うことは、広い意味での都市外交にもつながる」

午後8時前、松下玲子市長は約9時間に及んだ審議の最後を、こう締めくくった。委員6人のうち、賛成したのは立憲民主系と共産党、無所属の計3人。自民系と公明党の計3人が反対したことで同数となったが、最終的に立民系の委員長が賛成と判断したことで可決した。

条例案では留学生や技能実習生らを含めて外国人に投票権を認めており、国士舘大の百地章特任教授(憲法学)は「名を変えた外国人参政権で違憲の疑いがある」と指摘している。複数の市議がこの点を問いただすと、河戸直也・行政経営担当部長は「内部でも検討したが、違憲ではない」と答えた。

公明党市議団の落合勝利市議は原発建設の是非を問うような問題を例に挙げ「住民投票が政治利用されることはないのか」と追及。再び河戸氏が「乱発は好ましくない。住民投票の発議などには高い要件を設けており、防げる」と答弁した。

市の周知不足を尋ねる質問もあったが、これには松下氏本人が「他の条例案よりも丁寧に意見を聞いた。市長として市民の理解を得る努力は必要だが、議会はどれだけ努力したのかも考えてほしい」と反論した。

一方、条例案に賛成する市議は、市の方針に理解を示した。共産党市議団の橋本繁樹市議は「意図的に参政権と一緒にしてミスリードしようとする動きがある」と主張。無所属の桜井夏来市議は「外国人はコミュニティーを共有し日常的に交流している。市のサービスで国籍が条件に含まれるものはあるか」と質問し、「国籍でサービスに制限をかけることはない」との答弁を引き出した。

また、立憲民主ネットの藪原太郎市議が「特定の目的を達成するために数万人を転居させて行政が牛耳られること」の可否を尋ねると、河戸氏は「特定の集団で行政が牛耳られることは起こりえない」と強調した。