ビブリオエッセー

「空気」は読むものじゃなく 「凪(なぎ)のお暇(いとま)」コナリミサト(秋田書店)

「空気、読んでこ」

そんな風に思ったことはありませんか? 無意識に周りの顔色をうかがったり、とりあえず皆に合わせてしまったり…。この漫画の主人公、大島凪も「空気」に弱い28歳の女性です。

押し付けられた仕事を断れず、同僚には何も言えず、常に空気を読んではおとなしくやり過ごし、モヤモヤした日々を送っていました。

そんなある日、空気を読み過ぎる自分の陰口を女性の同僚たちが話すのを凪は耳にします。さらに付き合っていた慎二にも同じことを指摘され、それは嫌いな自分の姿なのですが、信じていたものに裏切られた凪は動転して過呼吸で苦しくなり、そのまま会社を辞めます。

そして悟ります。「空気は読むものじゃなくて吸って吐くものだ」と。この苦い出来事をきっかけにすべてを捨て人生をリセットしようと決意する凪。「お暇」の時間は有り余るほど。

アイロンでまっすぐ伸ばしていたストレートヘアはくせ毛に戻し、暗かった人生を変えようと前向きに行動する姿には元気をもらえます。凪は人生を顧みていろいろと気づいたり、少し不安になったり、空気を読む性格のきっかけになった母とも向き合うことになります。そんな展開に共感しました。

慎二やお隣のゴンら登場人物それぞれに世界観があり、少なからず空気を読んだり、悩んだり、そこに凪が気づかなかったりと、すれ違いにもどかしさを感じます。

ありのままの自分で人と関わると人生という物語はどこへ進んでいくか分からない。だから面白い。そんなワクワク感が伝わってきます。

黒木華(はる)さんが凪を演じたテレビドラマをご存じの方も原作をぜひ読んでみてください。また違った楽しさを見つけられますよ、きっと。

大阪府門真市 ナツミ(27)

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