松野博一官房長官は13日の記者会見で、ソウルの在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されてから14日で10年を迎えることについて「2015年の日韓合意により、日本が懸念を有していることを韓国として認知し、適切に解決されるよう努力すると確認した。これまでも累次にわたり適切な対応を求めており、今後も求めていく」と述べた。
しかし韓国側には慰安婦像を含む諸懸案の解決に取り組む姿勢は見られず、日韓関係はどん底の状態が続いている。端的な一幕は英国で11日(日本時間12日)、G7外相会合の夕食会に際して行われた日韓外相の「立ち話」だ。
林芳正外相は先月の就任以降、各国外相と電話会談を重ねてきたが、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相とは日程調整もされず、英国での立ち話が初の接触になった。韓国側は、両氏が「自然に遭遇して友好的な雰囲気の中、歓談した」と発表した。
ただ、日本側の説明はだいぶ異なる。林氏は慰安婦など一連の問題に適切な対応を求めたのに対し、鄭氏は韓国側の立場を主張。政府関係者によると、あいさつを除けば一往復程度の短いやりとりだったという。
立ち話には最低限の意思疎通という以上の意義は見いだしにくい。外務省幹部は「電話会談なら15分はかかるので、ここで済ませるのも手だった。北朝鮮がミサイルを撃てば電話しないわけにはいかないが、その時に『初めまして』ではなく、すぐ議題に入れる。その意味ではよかった」と語った。(千葉倫之)