韓国がTPP加盟手続き開始、対日貿易赤字増大も

韓国の国旗(AP)
韓国の国旗(AP)

【ソウル=桜井紀雄】韓国政府は13日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟するための国内手続きに入る方針を明らかにした。洪楠基(ホンナムギ)・経済副首相兼企画財政相が同日の対外経済閣僚会議で「TPP加盟を本格的に進めるため、多様な利害関係者との議論に基づき、関連手続きを始める」と表明した。

日本など11カ国でつくるTPPには中国と台湾が9月に相次いで加盟を申請。韓国内では、高水準の市場開放が求められるTPP加盟に農業団体などから反対も強いが、韓国の輸出入額の4分の1近くを占める最大の貿易相手国、中国の動きに背中を押された形だ。

洪氏は、中台の加盟申請などを挙げ、「アジア太平洋地域の経済秩序の変化が活発になり、これ以上、政府内の議論にとどめるのは難しい」と指摘。「開放型通商国家としての韓国の地位などを総合的に考慮した」と説明した。

加盟は11カ国の全会一致で決まる。韓国は日本といわゆる徴用工訴訟や慰安婦問題で関係が悪化している上、東京電力福島第1原発事故以来、水産物の輸入規制を続けている。TPPには食品輸入を不当に制限しないよう求める条文があり、議論となる可能性が高い。

韓国は、15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の加盟に向けた国会批准を終えた。ただ、TPPはRCEPよりも市場開放度が高く、産業界からは対日貿易赤字が増大する懸念も出ている。

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