13日の衆院予算委員会では立憲民主党の小川淳也政調会長が、泉健太代表体制発足後初の質問に立った。独特の言い回しや熱量を前面に出した発信力を評価する声があり、自身が題材となった映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」の公開を受けて知名度も低くない。先の代表選にも立候補し、党勢回復への期待を背負うが、言葉が先走る危うさもはらんでいる。
「落選者の失業対策、民意軽視、お友達人事、上級国民だ」。小川氏は政党支部による雇用調整助成金の受給問題で内閣官房参与を辞任した石原伸晃氏について批判し、岸田文雄首相の任命責任をただした。同様の問題を抱えた大岡敏孝環境副大臣に対しては「政治活動は安定的に公費で支えられている。安易に新型コロナウイルス禍で苦しんでいる人と同等に受け取るのは不適切だ」として、引責辞任を促した。
泉氏は立民のイメージを政策立案型に転換したい考えだが、批判そのものは否定せず、小川氏が言い出した「ほれぼれする批判」も排除していない。
実際、この日の小川氏は批判する場面が目立ち、首相が18歳以下への10万円相当の給付について年内の一括現金給付を容認したことを追及。マイナンバーカード保有者に最大2万円分のポイントを付与する事業に関して「天下の愚策だ。『金を配るから登録してくれ』という情けない言い方に2兆円もの予算を使おうとしている」と指摘し、2兆円を困窮者支援に充てるよう訴えた。
一方で小川氏は「日本は人口減や高齢化、社会保障の痛み、財政悪化、気候変動、かつてない構造問題を大量に抱えている」「昭和の成功体験を引きずっているだけでは新しい時代には行けない」などと大きなテーマを説きつつ、具体策には踏み込まず、首相を問い詰めることもなかった。
旧民主党系は、理想は語るが実行力や財源などの根拠が伴わないことをたびたび批判されてきた。小川氏もその一人だ。「時々、何を言っているのか分からない」(立民の逢坂誠二代表代行)との評価をはね返せるかが課題となりそうだ。(沢田大典)