原油価格の高騰に世界が震えた秋から一転し、12月初め原油価格は大きく値下がりした。新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染拡大が世界各地で確認され、原油需要の先行き不透明感が急速に強まったからだ。
さらに主要な産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)プラスは、現行の生産水準の維持を決めた。原油高に伴って米国主導で備蓄石油の協調放出を決めた日本や中国などの主要な消費国に対抗するため、産油国は減産に打って出るとの見方もあったが、産油国と消費国の全面対立はとりあえず回避された。
ただ、これで「脱炭素の移行期におけるエネルギー危機」という構造的な問題が解決されたわけではない。脱炭素をにらんで石油や天然ガスなどの開発投資は縮小している。需給バランスが崩れる中で、原油や天然ガスなどの資源価格が再び高騰する可能性は高い。