犯罪最前線

「トー横」に「グルーミング」 少女狙う危険なワナ

新宿・歌舞伎町の「トー横」周辺に集まる若者=東京都新宿区(納冨康撮影、一部画像処理しています)
新宿・歌舞伎町の「トー横」周辺に集まる若者=東京都新宿区(納冨康撮影、一部画像処理しています)

家庭や学校などで居場所を失い、都心の歓楽街などをたまり場にする少年少女たちが性的被害に遭うリスクが高まっている。現実社会での声かけに加え、会員制交流サイト(SNS)を悪用し、親切を装って手なずける「グルーミング」と呼ばれる手口も深刻化。子供たちを性犯罪から守るための教育や法整備が急がれている。(本江希望)

14歳に「ワリキリしない?」

世界有数の歓楽街、東京都新宿区の歌舞伎町。SNSなどを通じて集まった「トー横キッズ」と呼ばれる若者たちがたむろする一角では、中高年の男性が少女に声をかける姿が日常的に見られる。

「一人でいると絶対にナンパされる。『ワリキリ(売春行為の隠語)しない?』って」

こう語るのは、都内に住む14歳の女子中学生。ひと目で10代前半と分かるほどあどけない。自宅に居場所がなく、今秋から「トー横」の若者グループに加わり、一緒に夜を過ごすことも多いという。

「声をかけられたら『未成年です』と言って逃げてる。ここは本当に危ないから、気をつけてね」

女子中学生はそう言葉を残して仲間のもとへ走った。その周りにも、互いの身を守るように体を寄せ合う少年少女の姿があった。

「歌舞伎町は無法地帯になった。中学生が街を跋扈(ばっこ)していても注意する大人がおらず、やりたい放題。トー横が注目され、ようやく行政や警察が排除を始めたが、場所を移動するだけのいたちごっこだ」

約20年前から歌舞伎町で悩みやトラブルの相談を受けてきた公益社団法人「日本駆け込み寺」の創設者、玄秀盛さんが懸念しているのが「売春」の若年化だ。路上での声かけやSNS経由で売春行為を行う未成年の子供が歌舞伎町では後を絶たないという。

玄さんは「低年齢ほど『商品価値』が上がり、金銭感覚が身についておらず、性教育を受けていない無自覚な子供たちが狙われている」と指摘。仕事帰りの普通の男たちが加害者になっており、「欲求に身を任せ、倫理も理性もない」と憤りを隠さない。

優しい言葉で懐柔

ネットを通じた性被害で深刻化している手口がグルーミングだ。本来は動物の毛繕いなどの行為を意味するが、性犯罪の加害者が子供の孤独や承認欲求につけこみ、親密な関係性を築くための懐柔行為を指す。

位置情報を共有し合うアプリや知らない人同士で音声通話する通話型SNSなどが普及し、子供が加害者と接触してしまう場は多様化。加害者側は手当たり次第に声をかけ、反応があれば巧妙に攻略してくる。

デジタル性暴力などの被害者支援を行うNPO法人「ぱっぷす」の金尻カズナ理事長によると、受験勉強でストレスがたまり、SNSに居場所を求めた中学生が優しい言葉をかけてきた男性とつながり、被害にあったケースもあった。