変異株に水差された大阪万博PR デジタル活用カギ

政財界の首脳が訪問できなくなり、規模が縮小されたドバイ万博のジャパンデー=11日、ドバイ(共同)
政財界の首脳が訪問できなくなり、規模が縮小されたドバイ万博のジャパンデー=11日、ドバイ(共同)

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ万博で11日開催されたジャパンデーは、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の影響で政府や自治体首脳、財界トップらが訪問できなくなり、2025年大阪・関西万博を世界にアピールする機会に水を差されることになった。コロナと共生しながら国際イベントを準備する困難さが改めて浮き彫りになった格好で、大阪万博の開幕が約3年半後と迫るなか、日本は対策の練り直しを迫られている。

「政財界の首脳で手分けして、大阪万博へのパビリオン出展を決めていない国に働きかける計画だった。打撃と言わざるを得ない」

ドバイ訪問を中止した関西財界の首脳はこう話し、苦渋の表情を浮かべる。会場には各国政府の万博事業の責任者が集まるため、出展を働きかける貴重な機会となるはずだった。

ジャパンデーでは、アンドロイド(人形ロボット)によるオペラが上演され、日本の文化・技術力もアピールする予定だったが、出演者が渡航できず中止に追い込まれた。

万博を開催するには、各国にパビリオンへの出展を呼び掛けるだけでなく、国内外に広く告知して来場者の集客を図る必要がある。万博のPRが低調なら、企業などの参画の意欲が減退する負のスパイラルにも陥りかねない。日本は、新変異株の出現でコロナ禍の長期化が現実味を帯びるなかで万博の開催準備を本格化させなくてはならず、難しい状況に陥っている。

事態を打開する一つのカギになりそうなのがデジタル技術の活用だ。ドバイでは13日、大阪商工会議所などによる「大阪・ドバイビジネス交流会」が開かれる。大商の担当者は現地を訪問できなくなったものの、オンライン形式に切り替え、ほぼ予定された通りの内容で実施するという。

大商の担当者は「イベント中止は巨額の費用損失に直結するため、常にオンラインに切り替えられる準備をしている」と強調する。万博への出展誘致や、ジャパンデーの行事とは性格が異なる事業だが、オンライン対応への準備が功を奏した事例といえる。

大阪万博をめぐっては、オンライン空間での事前イベントや、会期中の「バーチャル万博」が計画されるなど、デジタル技術を使ったPRや集客が積極的に行われる予定で、誘致との相乗効果も期待される。

大阪万博の企画立案に関わった大阪府立大の橋爪紳也特別教授は「テレビの映像を見せることで原則無観客でも成立した東京五輪と異なり、展示会である万博は集客が不可欠だ。デジタル技術を活用して集客するだけでなく、サイバー空間での参加も集客として評価するなど、新たな万博のあり方を打ち出さなくてはならない」としている。(黒川信雄)