沖縄防衛で新たな「戦い方」模索 陸自と米海兵隊

台湾有事が発生し、戦火が沖縄県の離島に及んだとき、いかに中国に対抗するか。陸上自衛隊と米海兵隊が新たな「戦い方」を模索している。4日からは日米両部隊が島嶼(とうしょ)部に押し寄せる敵の艦艇を撃退する訓練を実施中だ。カギは陸自の南西諸島防衛強化と海兵隊の作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」の連携となる。日米の連携を強化するためには現地での訓練も欠かせないが、政治的な壁が妨げとなっているのが実情だ。

「共に戦う」

約100平方メートルのテントに陸自と海兵隊の隊員約40人が集まっていた。複数のパソコン画面が暗いテント内で光っている。陸自と海兵隊の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン21」で、日米連携の中核となる共同陸上戦術調整所だ。宮城県色麻町など3町村にまたがる陸自王城寺原演習場で8日、報道陣に公開された。

「共に戦うため、ここで2国間の調整を行うことを楽しみにしている」

米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県)に拠点を置く第4海兵連隊長のマシュー・トレーシー大佐が呼びかけると陸自隊員は深くうなずいた。陸自第5普通科連隊長の降籏慎生1佐は「EABOについてよく理解し、訓練を通じて出た課題を整理し、次の段階でさらに強固にしていく」と強調した。

8日の訓練では陸自のレーダーと米軍の偵察衛星、P8哨戒機が敵の艦艇を探し出し、調整所で情報を共有。陸自の88式地対艦誘導弾が敵艦艇を砲撃する一方、上陸した敵部隊に対しては海兵隊が沖縄から空輸した高機動ロケット砲システム(HIMARS)で攻撃を加える想定で行った。

陸自が海兵隊のEABOとの連携を目的に訓練を行うのは、今回が初めて。EABOは、ミサイルやセンサーを装備した小規模部隊が島嶼部などに分散展開する作戦だ。2019年7月に就任した海兵隊のバーガー総司令官が推進してきた構想で、艦艇や戦闘機、中距離ミサイルの物量で優勢を築く中国軍の射程圏内に踏みとどまり、米軍の空母や爆撃機が来援できる条件を作り出すことを狙う。

中国は台湾有事などで米軍の来援を中距離ミサイルなどで防ぐ接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力を構築している。米軍では当初、海空軍が中国ミサイルの射程圏外から攻撃する「統合エアシーバトル」で対抗する構想を描いてきた。しかし、中国軍が戦闘初期に南西諸島を占拠すれば、米海空軍の来援はますます難しくなる。そこで海兵隊が着手したのが、EABO構想だった。

17日まで続くレゾリュート・ドラゴンでは、10日に米海兵隊の輸送機MV22オスプレイが上空から補給物資を投下したほか、13日には海兵隊員がオスプレイで遠隔地に展開する訓練も行われる。いずれもEABOを想定した内容だ。