拉致解決へ国際連携、問われる政府の発信力

国際シンポジウムの後、記者団の質問に応じた(左から)北朝鮮拉致被害者家族会の飯塚耕一郎さん、横田拓也さん、横田早紀江さん=11日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
国際シンポジウムの後、記者団の質問に応じた(左から)北朝鮮拉致被害者家族会の飯塚耕一郎さん、横田拓也さん、横田早紀江さん=11日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表が退任したことで、政府の対応が一層問われることになる。政府は北朝鮮に対する国際的圧力を強めるため、各国政府・機関への働きかけも続けてきた。11日の国際シンポジウムもそうした取り組みの一環だ。だが、飯塚氏ら被害者家族は高齢となっており具体的成果を求めている。

政府は拉致問題で米国と連携し、岸田文雄首相と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記とのトップ会談を模索。米国の国連本部やスイスの国連欧州本部でのシンポジウム、欧州連合(EU)欧州議会での政策対話など、世界各国で問題提起を行ってきた。

国連人権理事会の調査委員会は北朝鮮による拉致被害国は日本のほか、韓国、レバノンなど12カ国に及ぶとの見解を示したが、各国の被害の調査は日本政府が主導した。調査委は北朝鮮が国策として拉致を行い、子供を含め20万人以上が強制失踪の被害に遭った可能性があるとし、「人道への罪」だと断じている。

今年11月にも国連の委員会で、日本が共同提案国になった北朝鮮人権侵害への非難決議案が採択された。同趣旨の決議採択は17年連続だが、今回の決議では日本人被害者と家族の高齢化に言及し「全被害者を即時帰還させることの緊急性と重要性」を強調した。

北朝鮮は人権問題などでの国際的批判に敏感だ。日朝関係筋は「人権を重視する欧米の圧力が強まる上、最高指導者の尊厳が損なわれれば側近らが責任を問われかねない」と語る。松野博一官房長官は11日のシンポで「政府は悲願実現のため総力をあげ最大限の努力を続ける」と強調した。政府はインターネットを活用した国内外への発信や、若い世代への啓発も進めるとしている。(中村昌史)