岸田首相、公邸に転居 野田氏以来、危機管理最優先

首相公邸で取材に応じる岸田首相=11日夕(代表撮影)
首相公邸で取材に応じる岸田首相=11日夕(代表撮影)

岸田文雄首相は11日、東京・赤坂の衆院議員宿舎から首相官邸に隣接する公邸に転居した。現職首相が日常的に公邸で暮らすのは、民主党政権下の野田佳彦元首相以来となる。菅義偉前首相は公邸に入居しておらず、国会で野党の追及を浴びることもあった。首相としては首都直下地震などの事態も想定し、危機管理を最優先する姿勢を示した形だ。

「久しぶりの引っ越しで新鮮な気持ちだ。昨今の政治の動き、日本のさまざまな課題を考えると、心の引き締まる思いもする」

首相は同日、公邸前で記者団にこう語った。議員宿舎は引き払い、公邸では当面、首相本人と長男で秘書の翔太郎氏が暮らす。東京と地元・広島を往復し首相を支える裕子夫人については「できるだけ一緒に過ごしたい。東京と地元を行ったり来たりだが、家族との時間は大事にしたい」などと語った。

現公邸は平成17年に完成し、小泉純一郎元首相以来、歴代首相が入居してきた。24年に民主党から政権を奪還した安倍晋三元首相は公邸も活用したが、東京・富ケ谷の自宅からも官邸に通勤していた。菅氏は官房長官時代に議員宿舎で暮らし、昨年9月に首相に就任してからもそのまま住み続けた。菅政権を支えた二階俊博前幹事長らも議員宿舎に居住しており、政策の「腹合わせ」のための会談を議員宿舎で重ねたとされる。

ただ、立憲民主党などの野党は安倍氏や菅氏が日常的に公邸に住まないことを問題視し、国会でたびたび追及してきた。首相としては、こうした批判も踏まえ、危機管理に万全を期す姿勢を示すことで今後も続くことが予想される野党の批判をかわす狙いがある。首相周辺は「危機管理に徹するということだ」と語った。(永原慎吾)