主張

札幌五輪 不利な情報も含め開示を

2030(令和12)年冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す札幌市が、開催計画の修正案を公表した。

経費は従来の額から最大で900億円減らし、総額2800億~3千億円とした。大会運営費はチケットやスポンサー収入などで賄い、「税金は投入しない」という。

招致段階で計算できない経費も多々あることは、新型コロナウイルス禍の中で行われた今夏の東京大会を見れば明らかだ。負担を危ぶむ市民感情について、秋元克広市長は「かなりの不安を払拭できる」と述べたが、社会情勢の変化による上振れのリスクなど、机上の計算通りには運ばぬ五輪の現実を正直に語るべきだろう。

冬季五輪は開催のたびに施設の後利用などが課題になり、近年は「厄介者」として世界から敬遠されている。札幌市は五輪開催を、都市インフラ更新やバリアフリー化、環境負荷を抑えた街づくりなどの契機にしたいという。残念ながら「なぜ札幌で」の理由にはなっていない。

都市再開発の投資を呼び込むための五輪では、半世紀前の札幌大会と何が違うのか。招致熱の高まりは歓迎すべきことだが、国際オリンピック委員会(IOC)ではなく、地元住民や国民をうなずかせる説明が必要だ。

IOCは複数都市に競わせる招致レースを廃し、五輪に関心を示す都市との個別協議を経て開催都市を選んでいる。各都市の招致経費の負担は大幅に軽減されたが、決定までの過程はかえって不透明になった。

30年大会の開催都市は来秋にも決まるとみられ、札幌は有力視されている。にもかかわらず、秋元市長は「IOCの決定プロセスは明らかではないので、やれる最大のことをやっていく」と述べた。当事者が立ち位置すら把握していないとすれば、無責任だ。

市は本年度内に市民や道民に開催可否の意向調査を行うという。何が、いつ、どう決まるのかも不透明な中で、何を基準に判断すればいいのか。市は不利な情報を含め、包まずに開示してほしい。

札幌支持を打ち出した日本オリンピック委員会(JOC)も、東京大会までのような「五輪景気」を当て込む姿勢は許されない。競技団体が助成金頼みの体質を改め、経済的に自立しなければ、国民の理解は得られまい。