住宅ローン減税、中間層に恩恵 複雑な制度に懸念も

令和4年度税制改正大綱で焦点となった住宅ローン減税の見直しは、控除率を縮小する一方で、控除期間は3年延ばすことで決着した。歴史的な低金利の影響で控除額が支払う利息より多くなる「逆ざや」など富裕層により有利な仕組みを是正する。住宅業界は「中間層にとって使い勝手がよくなる」など前向きに捉える一方、消費者からは負担増を懸念する声が上がる。

「今回の改正はそこまでマイナスにならない」

不動産大手の担当者は、住宅ローン残高の最大1%とする現行の控除率を一律0・7%に引き下げ、控除期間を原則13年とする改正内容に一定の評価をした。

住宅ローン減税をめぐっては、高額な住宅の購入で逆ざやによる利益を得やすいほか、納税額が低い層ほど実際の控除額も低くなるため、控除率が高いほど富裕層に有利とされている。

この担当者は「改正で控除期間も延びるので、制度を効果的に活用できる層が広がる」と期待する。

また、改正後は控除対象となるローン残高の上限について、住宅の耐震性や省エネ性能に応じて差別化が図られる。住宅の長寿命化や環境性能の向上に力を入れている大手住宅メーカーの担当者は「税制面で政府の姿勢を見せることは大きい」と肯定的に捉えた。

国土交通省は「中間層への経済対策」であることを強調。同省によると、現制度の所得税と個人住民税の控除上限額は10年間で計400万円だが、年収600万円の層(夫妻と16歳未満の子供2人の世帯を想定)は、その納税額からして控除額が300万円程度にとどまる事例が多く、上限いっぱい活用できていないという。改正後は年収600万円以下の中間層などが省エネ住宅を買い、平均的な額でローンを組んだケースで見た場合、控除額が増える計算になるとしている。

ただ、今年度上半期(4~9月)の首都圏における新築マンションの1戸当たりの平均価格は6702万円とバブル期を超えて過去最高になるなど、一戸建てを含め、住宅市場の好調が続く中、今回の税制改正が心理的に冷や水を浴びせる恐れもある。

近く住宅の購入を検討しようとしていた東京都文京区の女性会社員(42)は「現行制度と比べて損をしてしまうような気がして購入を足踏みしてしまう。制度が複雑すぎて分かりづらい」と苦言を呈した。(福田涼太郎)