紡ぎ出された言葉の数々 「偶然と想像」濱口竜介監督に聞く

「役者さんたちが輝きを放っている作品」と話す濱口竜介監督(水沼啓子撮影)
「役者さんたちが輝きを放っている作品」と話す濱口竜介監督(水沼啓子撮影)

世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭の今年(第71回)のコンペティション部門で銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞した濱口竜介監督(42)の新作映画「偶然と想像」がいよいよ今月、全国公開される。今年の第74回カンヌ映画祭でも自身の監督・共同脚本作「ドライブ・マイ・カー」が脚本賞に輝くなど、〝世界の濱口〟となった監督に、作品について聞いた。

「偶然と想像」は偶然をテーマにした短編3話からなるオムニバス映画で、「第1話、第2話と進むうちにだんだんと『そんなことあり得るのか』と偶然の度合いが高まり、その世界に入っていきやすいようにした」という。

「偶然そのものはすごくニュートラルなものだが、それがよく働くこともあるし、悪く働くこともある。偶然というものにはバリエーションがある」と定義。

「第1話は男女の三角関係から始まっていて割と軽い気持ちでみられるのでは。第2話はちょっと観客を突き放すような部分がある。第3話では最終的にやさしい気持ちでみられるので最後まで楽しんでほしい」と作品の説明にも熱がこもる。

3話とも会話劇が中心で、せりふ回しが巧みで思わず作品に引き込まれる。「ミュージシャンが楽曲を弾きながら曲の展開を探る感じで、書きながら人物像を探っている感じですかね。このキャラクターがこのシチュエーションに置かれたら、いちばん発しそうな言葉を選んでいる」と、紡ぎ出された言葉の数々であることを明かした。

濱口監督は恐らくいま日本でいちばん世界中を忙しく駆け回っている映画監督ではないだろうか。渡航先はスペインのサン・セバスチャンをはじめ、イタリアのローマ、ボローニャ、ミラノ、米ニューヨーク、韓国の釜山と目まぐるしい。

6月にはベルリン国際映画祭の授賞式にも参加した。映画祭のディレクター、カルロ・シャトリアンからは、作品について「日本の社会で生きている女性の問題がより繊細に描かれている気がする」と講評されたという。

「偶然と想像」は全7話のシリーズを予定している。残り4話については「そんなに急いでいないので良き時に撮っていく」と話し、今後はその時々でチャレンジしたいと思える作品を優先させていきたいとした。

(水沼啓子)