与党税制大綱決定、減税効果1千億円台後半 賃上げ税制強化に重点

与党税協記者会見に臨む自民党の宮沢洋一税制調査会長(右)と公明党の西田実仁税制調査会長=10日午後、国会内(矢島康弘撮影)
与党税協記者会見に臨む自民党の宮沢洋一税制調査会長(右)と公明党の西田実仁税制調査会長=10日午後、国会内(矢島康弘撮影)

自民、公明両党は10日、令和4年度の与党税制改正大綱を決定した。岸田文雄首相が看板に掲げる「成長と分配の好循環」を進めるため、賃上げに積極的な企業の法人税を軽減する「賃上げ税制」の強化に重点を置いた。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響緩和のために設けられていた減税措置は、企業の好業績などを理由に一部が縮小され、企業や消費者の負担増も今後は意識されそうだ。

政府・与党は4年度の税制改正を通じ、賃上げ税制の見直しでは1千億円台半ばから後半の減収、固定資産税では450億円程度の減収を見込む。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は同日の会見で「成長から分配へという大きな政策の第一歩を、何とか支援する税制ができた」と振り返った。

賃上げ税制では、賃金を増やした大企業は法人税から差し引く控除(減税)率を最大30%、中小企業は最大40%に拡大。賃上げや投資に消極的な企業に対しては、減税措置の対象から外す制度も併せて設けた。

年末に期限を迎える「住宅ローン減税」では、制度を延長した上で控除率は引き下げるものの、省エネ性能に優れた新築住宅の取得は優遇する仕組みとした。

一方、コロナ禍の行動制限が緩和され景気が徐々に持ち直し始めたのに伴い、3年度に導入した固定資産税の特例を住宅地では撤廃し、商業地のみで続ける。航空会社が国内線で使った燃料の量に応じて払う「航空機燃料税」の軽減措置も減税幅を縮小した。

また、第5世代(5G)移動通信システムなどのデジタル化投資を促す減税措置は、控除割合を段階的に縮小することで集中的な投資を呼び込む制度にした。

ただ、衆院選などの影響で検討時間が短縮されたことも影響し、抜本的に見直した税制はなかった。株式売却益など金融所得への課税強化や二酸化炭素(CO2)排出量に応じて課税する「炭素税」の導入などは5年度以降の課題とする。

4年度の税制改正案は今月中に閣議決定し、関連法案を年明けの通常国会に提出後、3月末までの成立を目指す。