賃上げ税制、固定費増に根強い警戒感

東京駅周辺のビル群=6月、東京都千代田区(本社ヘリから、佐藤徳昭撮影)
東京駅周辺のビル群=6月、東京都千代田区(本社ヘリから、佐藤徳昭撮影)

岸田文雄首相肝いりの賃上げ税制は、法人税から差し引く控除率を大幅に引き上げたことで、企業からは歓迎の声が上がる一方、新型コロナウイルスや米中対立など、経営の不確定要素が多い中、賃上げで固定費が増えることに対する警戒感も根強い。

「前向きに捉えたい」

金融とITを融合したフィンテック企業「ココペリ」(東京都千代田区)の近藤繁代表取締役CEO(最高経営責任者)は賃上げ税制についてそう語る。実際の賃上げには、従業員1人当たりの労働生産性の向上が大前提とした上で、「その取り組みに拍車がかかる良いきっかけになる」と評価する。

ただ、賃金は従業員の意欲にも関わる問題で、企業にとって経営そのもの。食品大手の担当者は税制などで賃上げを促す手法に疑問を呈した上で「賃上げには基本賛成だが、仕事のアウトプットを正当に評価し反映させていくことになるだろう」と話す。

新型コロナ禍からの業績回復も業界でばらつきがみられる中、利益が出ていなければメリットの少ない制度に「正直、賃上げとかを考えられる状況ではない」(飲食大手)との声も聞かれる。

東京都大田区内の町工場など約770社が加盟する大田工業連合会の舟久保利明会長も「政治の力で賃上げできるのは大企業や中堅企業の一部。零細企業は景気が良く、仕事が増えたときに多少、給与や賞与を上げられるというのが現実で、税制改正で賃上げが進むとは到底思えない」と否定的な見方を示した。