英民衆法廷、ウイグル人権侵害をジェノサイドと認定 習氏も追及

中国・新疆ウイグル自治区ヤルカンド県の通り=3月(AP)
中国・新疆ウイグル自治区ヤルカンド県の通り=3月(AP)

弁護士や人権専門家らによる英国の独立した民衆法廷「ウイグル法廷」は9日、報告書を発表し、中国政府による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定した。習近平国家主席や中国共産党の高官らが人権侵害に関して「主要な責任を負っていると確信している」とも強調した。

英BBC放送などによると、非政府組織でもあるウイグル法廷は自治区での人権侵害を検証するため、ウイグル人活動家の呼びかけで2020年に設立した。

同法廷は今年、ロンドンで複数回の公聴会を実施。米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」のエイドリアン・ゼンツ上級研究員ら専門家や自治区で拘束された経験を持つウイグル族など70人以上から協力や証言を得て報告書を作成した。

ウイグル法廷は9日に発表した63ページに及ぶ報告書で自治区で拘束されたウイグル族が拷問や性的暴行を受けている実態を明記。100万人を超えるとも指摘されるウイグル族が「中国当局に何の理由もなく拘束され、卑劣かつ非人間的で理不尽な残虐行為の被害に遭っている」と非難した。

また、不妊処置強要などウイグル族を狙った人口抑制策が行われているとし、「中国は出生を妨げる措置を講じることで、かなりの数のウイグル族を滅ぼすつもりでいる」とし「合理的な疑いを超えて、中国が大量虐殺を行ったと確信している」との見解を示した。

「(ウイグル自治区での)レイプや拷問といった発生した可能性のある個々の犯罪行為に関し、習氏らが詳細に知った上で実行されたわけではない」としつつ、習氏らが推進した政策や演説などの「直接的な結果として起こったものだと確信している」と責任を問うた。

報告書には法的拘束力はないが、中国の人権侵害を監視する国際議員連盟設立を主導した英保守党のダンカンスミス元党首らがウイグル法廷の判断を支持しており、政府の対中政策に影響を与える可能性がある。

英政府はウイグル自治区での人権侵害に懸念を示しているものの、ジェノサイド(民族大量虐殺)の認定をしていない。

報告書を受け、ダンカンスミス氏はBBCに「英政府は中国による(ウイグル自治区での)大量虐殺を非難するときが来た」と強調した。(ロンドン 板東和正)