明暗分かれた関西勢、ACL手繰り寄せた神戸の一体感

ゴールを決め、喜ぶ神戸の大迫(撮影・蔵賢斗)
ゴールを決め、喜ぶ神戸の大迫(撮影・蔵賢斗)

今季のJリーグはJ1が12月4日、J2とJ3が5日に終了した。J1では、シーズン途中に日本代表の大迫や武藤を補強した神戸がクラブ史上最高の3位に入って来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得した一方で、昨季2位のG大阪と同4位のC大阪は2桁順位に低迷(G大阪13位、C大阪12位)。ともに、シーズン途中の監督交代も余儀なくされた。J2では、曺貴裁(チョウキジェ)監督率いる京都が2位に入って12年ぶりのJ1切符を獲得した。関西勢4チームの2021年シーズンを総括する。

神戸/豪華布陣で一体感醸成

シーズン中、神戸の多くの選手が口にしたのが「チームの一体感」だ。元スペイン代表のイニエスタやベルギー代表のフェルマーレンといったスター選手を抱えながら、全員が同じ方向を向いてプレーできたのは、練習に真剣に取り組む姿勢を徹底させたから。昨季途中に就任した三浦監督は「この世界は気を抜いたら厳しくなる。僕自身が気を緩めないのが大事。日々の努力がシーズンの結果につながった」と強調する。

昨オフに右足を手術したイニエスタが開幕に間に合わず、夏場には得点を量産していた日本代表の古橋がセルティック(スコットランド)に移籍。故障者が多く、メンバー選考が難しくなった時期もあったが、郷家や佐々木、中坂といった若手の成長でカバーした。37試合に出場し、センターバックのレギュラーに定着した菊池は「三浦監督のおかげ。チームがいい雰囲気になっていた」と話す。

9月以降は8勝2分け2敗。海外から日本に復帰した大迫や武藤が素早く溶け込んでチームを牽引(けんいん)したことも、終盤戦の好調につながった。山口、酒井も加えた豪華な布陣はJリーグ屈指。来季は、アジアの頂点を目指す戦いとなる。

C大阪/苦労人指揮官がチーム再建

今季限りで引退するC大阪の大久保
今季限りで引退するC大阪の大久保

C大阪は4度目の就任となったクルピ監督の下、攻撃的なサッカーを志向したが、5月から8月まで11試合連続未勝利。8月25日にホームのヨドコウ桜スタジアムで湘南に1-5と大敗したことで、ブラジル人指揮官の契約解除が決まった。

コーチから昇格した小菊監督は、真っ先に守備の立て直しに着手。昨季まで指揮を執ったロティーナ監督時代の組織的な守備戦術なども取り入れ、攻守のバランスを整備した。リーグ戦ではなかなか結果に結びつかなかったが、YBCルヴァン・カップでは4年ぶりに決勝に進出。長年、裏方としてクラブを支えてきた苦労人の指揮官は「戦う姿勢」や「全力を出し切るプレー」を選手に要求し、チーム再建を進めた。

夏に元日本代表の乾が復帰。センターバックでコンビを組む瀬古と西尾は国際親善試合ウズベキスタン戦の日本代表に初招集された。開幕からの5試合で5ゴールを挙げたJ1最多得点記録保持者の大久保は今季限りで引退するが、表明後の2試合では先発出場し、鋭い切れ味を披露している。4強に残っている天皇杯全日本選手権で大久保の花道を飾り、来季の躍進の糸口をつかみたい。

G大阪/コロナに翻弄、節目飾れず

コロナ禍のチームを支えたG大阪の宇佐美
コロナ禍のチームを支えたG大阪の宇佐美

G大阪はクラブ創設30年の節目のシーズンで、レジェンドである宮本監督の下、タイトル監督を狙ったが、新型コロナウイルス禍に翻弄された。開幕直後に複数の陽性者が出たことで活動休止を余儀なくされた。再開後も調子は上向かず、10試合を終えた段階で1勝4分け5敗と低迷したことで、宮本監督の契約を解除するとともに、強化アカデミー部長だった松波監督が後任の指揮官に就任した。

しかし、故障者が続出。加えて、コロナ禍の影響で延期となった試合を消化するため、東京五輪期間中に中2~3日で連戦をこなす厳しい日程となり、チームの成熟度を上げることがなかなかできなかった。

タイトル獲得のためレアンドロペレイラやチアゴアウベスら攻撃陣を補強したが、組み合わせがうまくいかず、終盤は結局、宇佐美とパトリックの2トップが先発し続けた。「コロナに一番影響されたチーム。思い描いていたのとは、かけ離れた地位で戦っていた」と昌子。今季限りで退任予定の松波監督は「(降格した)2012年のように、ならないようにしなきゃいけないと思っていた。残留でき、ただただ感謝」と選手の踏ん張りをたたえた。

京都/ボールを〝狩って〟失点防ぐ

J1昇格を決め、胴上げされる京都の曺貴裁監督
J1昇格を決め、胴上げされる京都の曺貴裁監督

京都の失点31はJ2で最少だが、引いて守りを固めたわけではない。攻守の切り替えを素早く行い、前線や中盤の選手がボールを〝狩った〟結果である。

曺監督は湘南時代に構築した走り続けるサッカーを京都でバージョンアップ。序盤は磐田や秋田に競り負けるなど不安定だったが、ぶれずに指導し続けたことが奏功した。「秋田に負けたあと、正直になって自分自身強く歩んでいかなきゃいけないと思った」と指揮官。湘南時代の教え子で、主将を任された松田は「チームを勝たせようという気持ちがどんどん高まった。一人一人が責任を持って戦えるようになった」と選手の意識の変化を口にする。

4月から6月にかけて15試合無敗。接戦でしぶとく勝ち点を拾っていく中で、福岡や川崎といった育成組織出身の選手も成長した。

ただ、最後の3試合はスコアレスドロー。曺監督は「力があったから勝ち点を取れたが、力がなかったから勝利を取れなかったとも言える」と振り返ったが、その分析は来季までに解決すべき課題でもある。3年連続で20ゴール以上をマークした37歳のウタカ頼みから脱却できるか。J1で戦うポイントになりそうだ。