主張

外交ボイコット 首相は旗幟を鮮明にせよ

米政府が、北京冬季五輪・パラリンピックに首脳や政府使節団を送らない外交的ボイコットに踏み切ると発表した。

中国政府による新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(民族大量虐殺)と人道的犯罪、香港での民主派弾圧などの人権侵害に抗議するためだ。

中国女子テニスのトップ選手、彭帥(ほう・すい)さんが元副首相に性的関係を強要されたと訴えた後、動静が不明になったことも問題視されている。

オーストラリアも閣僚や政府関係者を派遣しないと表明した。欧州諸国も対応を検討中だ。

五輪・パラリンピックは平和の祭典だ。弾圧の責任者である習近平国家主席とその政権を称揚する場にしてはならない。外交的ボイコットは当然である。

中国外務省報道官は、米政府の対応に「強烈な不満」を表明し、「断固とした対抗措置」をとると反発した。

岸田文雄首相は7日、「五輪の意義、わが国の外交にとっての意義などを総合的に勘案し、国益の観点から自ら判断していきたい」と述べた。

いかにも悠長な発言で深刻な人権状況への憤りが感じられない。中国政府が全く反省していないのだから、日本のとるべき道は明らかではないか。

外交的ボイコットの輪に加わることだ。首相や閣僚、スポーツ庁長官を含む政府使節団見送りは欠かせない。人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)制定も急務である。

日本の対応を公表する際に、岸田首相はその理由をはっきり示す必要がある。中国の人権状況への認識や中国政府に求める行動について明確に語るべきだ。

自民党総裁選などで岸田首相は人権問題重視の姿勢を示してきた。「(中国に)言うべきことは言う」とも述べてきた。それを果たすときである。

岸田首相は、判断の基準として「国益」に言及し、人権という言葉は用いなかった。通商、外交関係を念頭に、中国政府を怒らせない、刺激しない点ばかりを国益と思い込んでいないことを祈るばかりである。

真の国益には、人権が守られた国際社会の実現が含まれると肝に銘じてほしい。それを追求できないなら、民主国家のリーダーにふさわしくないと知るべきだ。