10万円現金給付可能に クーポン効果乏しく不毛な議論

方針転換を余儀なくされた岸田文雄首相=9日午後、国会・衆院本会議場
方針転換を余儀なくされた岸田文雄首相=9日午後、国会・衆院本会議場

追加経済対策に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付をめぐる混乱に拍車がかかっている。政府がこだわる5万円分のクーポン給付は消費の押し上げ効果が期待ほど見込めないとの指摘が相次いでいた。複雑な仕組みで事務がかさむ自治体は現金支給に傾いており、岸田文雄政権は方針転換を余儀なくされた。

クーポン給付が問題視されるのは、消費につながる根拠に乏しく、メリットが少ないことだ。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「クーポンで買い物をしても、もともと当てる分の給料が貯蓄に回る」と指摘する。必要な物品が対象にならず使用できない恐れもある。

クーポン給付が自治体に委ねられれば、事務を圧迫し、地域によっては支給開始が遅れる可能性もある。日本総合研究所の若林厚仁主任研究員は「子育て支援や消費活性化が目的なら現金給付の方が手っ取り早い」とする。900億円超とされる巨額の事務費が浮けば、その分だけ現金給付額を増やすことも可能だ。

10万円給付自体の経済効果も疑問視される。若林氏によると、過去の給付金で消費に回ったのは2~3割程度。今回の総額1兆9千億円規模の財政出動からすると6千億円ほどの効果となり、「国内総生産(GDP)を0・1%押し上げる程度で『ないよりまし』という規模だ」とする。

経済対策として効果が薄いとの指摘もある10万円給付をめぐり、緊急の対策にもかかわらず不毛な議論が続いている。(岡本祐大)