囲碁の井山、3期ぶり王座復位で5冠返り咲き

囲碁の第69期王座戦五番勝負で奪取した井山裕太新王座が5冠に復帰した(日本棋院HPから)
囲碁の第69期王座戦五番勝負で奪取した井山裕太新王座が5冠に復帰した(日本棋院HPから)

囲碁の第69期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第5局が9日、甲府市で行われ、挑戦者の井山裕太四冠(32)が161手までで、芝野虎丸王座(22)に黒番中押し勝ちし、対戦成績3勝2敗で3期ぶりに王座復位を果たした。通算7期。

七大タイトルのうち年初に3冠を保持していた井山新王座は棋聖・本因坊・名人を防衛、碁聖を奪取しており、平成31年4月以来の5冠に返り咲いた。自身3度目の5冠に「3つまで後退したときは増やすのは大変かと思ったが、結果的に増やすことができうれしく思います」と話した。タイトル獲得は67期。

王座3連覇を逃した芝野九段は、令和元年10月以来の無冠になった。

5冠復帰の舞台は、またも王座戦だった。張栩(ちょう・う)九段(41)=平成21年4月17日~10月15日まで182日間=に続き、井山が囲碁界2人目の5冠保持者になったのが24年の第60期王座戦で757日間、その座を守った。一時期4冠になったあと返り咲いたのが27年の第63期王座戦。2度の七大タイトル独占を含め平成最後のタイトル戦になった31年の十段戦まで、1247日間の長期にわたり、5つ以上を保持していた。令和に入ってからの王座3連覇を目指した芝野を破り、5冠の称号を取り戻した。

井山は今年、3月に棋聖9連覇を果たすと、7月には趙治勲二十五世本因坊と並ぶ本因坊10連覇を達成。碁聖戦と名人戦はともに一力遼九段相手にフルセットまでもつれこみながら勝利した。本因坊戦では1勝3敗の崖っぷちから芝野に大逆転勝ち。この日決着した王座戦では、3年前に奪われた相手から王座を奪還した。

許家元(きょ・かげん)八段が芝野十段(いずれも当時)からタイトルを奪った「大和ハウス杯 第59期十段戦」も最終第5局で決着しており、昭和59年に七大タイトル戦が現行の五番勝負、七番勝負制に定まって以降、1年に5つの棋戦が最終局までもつれたのは初めてのこと。うち4つに登場した井山は、すべて勝利したのだ。21年に20歳4カ月で名人を獲得して以降12年間、七大タイトルのうちなんらかを保持してきた。19歳11カ月の史上最年少で名人を奪取しながら、2年1カ月で無冠に転落した芝野と比べると、頂点を極めている期間の長さが際立つ。20代のころと同じ体力、気力を持ち合わせていることが、長く活躍できる秘訣だ。

2月に第一子(長男)が誕生。生まれてから七大タイトル戦の挑戦手合は負けなしだ。「(子供の)成長は早い。自分も少しでも成長していかないと。彼が生まれた年に成績が良くないと、あとで何を言われるか分からないので」と話していた通りの活躍だ。

挑戦権争いが真っただ中の第60期十段戦では本戦トーナメントで敗退したため、自身3度目となる七冠独占までは、しばらくかかりそう。それでも来年も、日本囲碁界は井山を中心にまわりそうだ。(伊藤洋一)