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日本の経済安保「技術力生かし存在感発揮を」 同志社大・村山教授講演

千葉「正論」懇話会の会合で講演する村山裕三氏=千葉市中央区(高橋寛次撮影)
千葉「正論」懇話会の会合で講演する村山裕三氏=千葉市中央区(高橋寛次撮影)

千葉市中央区の京成ホテルミラマーレで開催された千葉「正論」懇話会(会長・千葉滋胤千葉商工会議所顧問)の第73回講演会。同志社大大学院ビジネス研究科の村山裕三教授(68)が、「『経済安全保障の時代』を考える』」と題し、熱弁を振るった。経済安保をめぐっては、岸田文雄政権が担当相を置き、千葉2区選出の小林鷹之衆院議員が就任するなど、その重要性が改めて認識されてきただけに、来場者は真剣なまなざしで聞き入っていた。

村山氏は冒頭、経済安保の定義について、「経済を安全保障というレンズを通して見るとどう見えるかだ」と説明。半導体のサプライチェーン(供給網)を例に挙げ、経済だけで言えば高品質・低コストで生産できる国で造ればいいが、安保の観点では緊急時も安定的に調達できるかなどが重要になるとした。エネルギーや食料など、幅広い分野が対象になるという。

歴史的な経緯に関しては、「技術を通して経済と安保が結びついたのが1980年代だった」と指摘。当時、技術的な優位性を誇っていた日本製半導体に米国製の兵器が依存していたことで、米国側が危機感を抱き、経済安保の〝萌芽〟が生まれたと説明した。

その後、中国の台頭でハイテク摩擦の舞台は米中間に移る。日米は同盟関係にあることから、「政経分離」を原則としたが、米中の摩擦は、経済と安保を分離すべきではないという認識が定着した後に深刻化。人工知能(AI)や量子、ロボティクスなどの新興技術は民生だけでなく、軍事でも利用価値が高いため、「経済と安保を隔てる壁が崩壊した」と強調した。

米政府は以前、経済的な相互依存関係を深めることで、中国に国際ルールを守るように促せると考えていたが、「トランプ前政権時に、相互依存に対する根本的な認識変化が起きた」と指摘。経済交渉にナショナリズムの要素が入り込んで、経済、安保の両面で自国に有利な立場を獲得しようとしたため、「中国との相互依存が安保上良くないと考える潮流になり、バイデン政権も踏襲している」という。

日本の政府・与党が制定に向けて準備している経済安全保障推進法に関しては、「今のままだと安保の思惑が入っていないただの経済・産業政策となる。現時点では防衛省の姿が見えず、これからの検討で安保の要素を入れ込んでいく必要がある」と懸念を示した。

講演の結びでは、今は日本にとって困難だが、存在感を高められる好機でもあると強調。半導体の有力企業を擁する台湾を例に挙げ、「米中が決定的に重要とみなす分野の国際競争力を保持することで、圧力に対抗できるし、交渉カードにもなる」と主張した。

また、「冷静に技術を見据え、経済と安保をバランスさせることが重要だ。核兵器などの軍事力が取り仕切った米ソ冷戦の時代にはどうしようもなかったが、今は日本の経済力や技術力を生かして国際関係の中で存在感を発揮できる可能性が出てきている」と話した。

むらやま・ゆうぞう 同志社大経済学部卒、米ワシントン大から経済学Ph.Dを取得。その後、野村総合研究所などを経て現職。専門は経済安全保障、文化ビジネス。経済産業省「産業構造審議会 安全保障貿易管理小委員会」、文部科学省「科学技術・学術審議会」などで委員を務める。著書に『米中の経済安全保障戦略』、『経済安全保障を考える』など。